『ドマーニ!愛のことづて』(原題:C’e Ancora Domani)
監督:パオラ・コルテッレージ
出演:パオラ・コルテッレージ,ヴァレリオ・マスタンドレア,ジョルジョ・コランジェリ,
ヴィニーチョ・マルキオーニ,ロマーナ・マジョーラ・ヴェルガーノ,エマヌエラ・ファネッリ他
昨年5月に“イタリア映画祭 2024”にて上映された作品を劇場公開。イオンシネマ茨木にて。
映画祭時の邦題は、英題の“There’s Still Tommorow”を和訳した“まだ明日がある”でした。
主演女優のパオラ・コルテッレージはイタリアの人気コメディエンヌだそうで、
これが彼女の監督デビュー作でもあります。
いや~、アラフィフでそれなりにおばちゃんではあるものの美人だし、演技も上手いし、
そのうえこんな良作まで自分で撮っちゃうとは、天は二物を与えずどころじゃないですね。
全編モノクロで、いつの時代の話なのか最後まで明かされません。
いったいこれはいつのこと?と思いながら。
デリアは年頃の娘マルチェッラと悪ガキ2人、計3児の母親。
夫のイヴァーノは常にデリアを見下し、暴力を振るうのもモラハラも普通のこと。
寝たきりの舅オットリーノもさすがイヴァーノの父親で、介護するデリアを罵倒してばかり。
夫にも義父にも従うのみのデリアのことがマルチェッラは情けなくて仕方ない。
母親のような生き方は絶対にしたくないと思っている。
そんなマルチェッラが結婚を考えている富裕な家庭の青年ジュリオを家に呼ぶことになり、デリアは大喜び。
金持ちと結婚するが勝ちだから、イヴァーノも近所で大威張り。
ジュリオ一家が顔合わせに来る日、粗相のないように注意を払うが、
イヴァーノは相手の鼻につく態度にムカつき、歩けないはずのオットリーノはベッドから出て来る。
息子ふたりは父親と祖父譲りの口の悪さを発揮し、ジュリオの両親は唖然。
それでもジュリオはマルチェッラと結婚の意思を崩さず、デリアは一安心。
しかし以降もイヴァーノの暴力は止まることがない。
マルチェッラさえ幸せになってくれたら思い残すことはないと考えていたとき、
若かりし頃からデリアに想いを寄せるニーノから駆け落ちを持ちかけられる。
今こそそうすべきだと思っていた日、折り悪くオットリーノが亡くなって……。
酷い夫なんです。舅も。早く逃げ出せばいいのに、こんな家、と思う。
でも、逃げたところでどこへ行けばいいのかわからない。
手に職はあるのに、それが役立つことをデリア自身がわかっていません。
内職でひそかにへそくりを貯めるのも自分のためではなく娘のため。
親友のマリーザはどこまでもデリアの味方で、デリアが早く逃げる気になればいいと思っています。
デリアの頼みならいつでも口裏を合わせる用意があるのに、舅が死んでしまうとは。
致し方なく弔問してベッド脇で悪口を言い合うシーンは楽しい(笑)。
どこの誰かわからんババァが家に上がり込んで祈りを捧げつづけているのも。怖いがな。(^^;
駆け落ちの夢が壊れたかと思われたデリアの向かう先。
てっきり「まだ明日がある」と気を取り直してニーノを追いかけるのかと思ったら。
このオチは予想していませんでした。良いほうに見事に裏切られる。
舞台は1946年だということが最後にわかる。その年、イタリアで何があったか。
ネタバレしてしまいたいけれど、これは知らずにご覧いただきたい。
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