『綱引いちゃった!』
監督:水田伸生
出演:井上真央,玉山鉄二,浅茅陽子,西田尚美,渡辺直美,ソニン,犬山イヌコ,
中鉢明子,石丸謙二郎,石塚英彦,笹野高史,風間杜夫,松坂慶子他
平日の休みを取った日に、用事をガーッと片付けて近所のシネコンへ。
本命の『007 スカイフォール』を観る前に、少し気になっていた本作を。
大分県大分市。県庁所在地でありながらなんだか地味。
修学旅行生らに動物園や城郭のアピールに努めるも盛り上がらない。
市長はそれについて「偏差値の低い学校は駄目だ」と言うだけで、
一向に具体的な改善策を打ち出そうとはしない。
そんな市長が気まぐれに言い出したのが、市代表の女性綱引きチームの結成。
市役所職員で広報課に所属する千晶は、“綱娘”メンバー募集のちらしを作成。
しかし、応募者は一人もおらず、厳しい現実に愕然とする。
ところで、市長は給食センターの廃止を検討中。
民間の大手食品会社を誘致して給食を全面委託すれば、
市が潤うにちがいないと考えている。
それを聞いた給食センターに勤める女性らは猛反対。
市役所前に連日集結し、「市長を出せ!」と叫ぶ彼女らを見て千晶は「これだ」。
彼女らが綱引きチームのメンバーとなって全国大会出場を果たせば、
給食センターの廃止は取り消すことを市長に約束させる。
成り行きで自ら参加しなければならなくなった千晶。
地元の男性綱引きチームのメンバーである公雄にコーチを依頼。
2カ月後の県大会に向けて特訓を開始するのだが……。
町おこしに綱引き。
変わった競技を使っているものの、ごく単純なスポ根だろうと思っていました。
だけど、それぞれの女性が抱える背景がシビアです。
負傷して無職になった夫に代わり、仕事をいくつも掛け持ちしている一枝。
死別した夫の連れ子を育ててきたが、反抗的な態度に困り果てている絵美。
兄弟はみな町を出たために、ひとりで認知症の父親の面倒をみている美香。
彼女たちの姿を重すぎることなく描いていて、応援したくなります。
いつも癒やし系の笹野高史は、認知症の親父を演じても癒やし系。
教師だったころが忘れられず、街を徘徊しては学生を叱り飛ばします。
そんな彼につきあって、「先生」と呼びつづける美香やチームのメンバー。
彼と絵美の息子とのシーンにはニンマリ。
お涙頂戴に走りすぎることもなく、
エンディングはカラリと明るくドリカムの書き下ろし曲『愛して笑ってうれしくて涙して』。
その前に絵美の息子にさんざん泣かされた私ですが。(^^;
女は弱し、母は強し。
ひとりじゃないっちゃ!
—–