『JOIKA 美と狂気のバレリーナ』(原題:Joika)
監督:ジェームズ・ネイピア・ロバートソン
出演:タリア・ライダー,ダイアン・クルーガー,オレグ・イヴェンコ,ナターシャ・オルダースレイド,
ナタリア・オシポワ,シャーロッテ・ウベン,ボリス・シィツ,トマシュ・コット,カロリーナ・グルシュカ他
祇園花月へ“辻本茂雄GW還暦特別公演 笑って感動して元気になったらど~や!”を観に行く前に、
京都シネマで3本ハシゴするはずが疲れ果てて早起きできず。2本にとどめたうちの1本目。
実在のバレエダンサー、ジョイ・ウーマックを取り上げた伝記で、イギリス/ニュージーランド作品。
彼女自身がダンスシーンのボディダブルやアドバイザーを務めているほか、
共演者のオレグ・イヴェンコはウクライナ出身、本物の世界的ダンサー。
ロシア・タタルスタン共和国のタタル国立歌劇場のプリンシパルなのだそうです。
バレエの才能に恵まれたアメリカ人、15歳の少女ジョイはスカウトされ、
名門ボリショイバレエ団のプリマになるという夢を叶えるべく、単身ロシアへと渡る。
アカデミーの練習生となり、不安を抱えながらもそれに勝る自信を持っていたはずが、
自身元プリマで伝説的存在の教師ヴォルコワのレッスンは想像以上に過酷。
オーディションを受けるのは毎回5千人にのぼり、その中で合格する者はいるかいないかぐらいの数。
ライバルをひとりでも減らすためにほかの練習生たちは妨害工作も厭わない。
熾烈な生き残り競争をかけるうち、心身ともに追い詰められていくジョイだったが……。
オープニングの美しさに魅入られます。
2本ハシゴもきつくて1本だけにしようかと思ったところ、這うように観に行ってよかった。
バレエの世界って、凄絶、壮絶。
スクールへの入学を認めておきながらきっちり差別するのは『ネネ エトワールに憧れて』(2023)も同じ。
あっちは黒人だから踊らせないってことでしたが、こっちはロシア人じゃなきゃ踊らせたくない。
オーディションで最高評価を得てもアメリカ人だからと不合格にする。じゃあなぜスカウトなんてするの。
心をずたぼろにされたジョイは、ロシア人ダンサーと結婚してロシア国籍となる道を選びます。
そうしたらいとも簡単にボリショイに入団が認められるも、ずっと群舞どまり。
そこから上に行くためにはスポンサーを見つけて体を売らなきゃいけないって、どんな世界なのか。
それを暴露したら今度は裏切り者扱いで、ロシア中から非難を浴びるのです。
両親がアメリカに帰って来いと言ってくれても帰らずに、結局トイレの掃除人として暮らす。凄い人生です。
ジョイ役のタリア・ライダーも良いけれど、なんといってもヴォルコワ役のダイアン・クルーガーが素晴らしい。
散々持ち上げられておきながら用済みにされるのも容易いというところも
『ネネ エトワールに憧れて』のお飾り校長と似ています。彼女たちの意地が見えるのが良いなぁ。
これは最終的に「FUCK!! ボリショイ」ってことで良いですかね。(^^;
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