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『ミッドサマー』

『ミッドサマー』(原題:Midsommar)
監督:アリ・アスター
出演:フローレンス・ピュー,ジャック・レイナー,ウィル・ポールター,
   ウィリアム・ジャクソン・ハーパー,ヴィルヘルム・ブロムグレン,アーチー・マデクウィ他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、アメリカ/スウェーデン作品を。
 
原題の“Midsommar”は、夏至におこなわれるお祭りの意。
アリ・アスター監督は、長編デビュー作だった『ヘレディタリー/継承』(2019)が
ここ50年のホラー映画中の最高傑作と評価された凄い人。
直近50年どころか21世紀最高のホラーとも言われています。まだ2020年なのに(笑)。
 
そんな監督が、スウェーデンを舞台にしたホラーを撮ってほしいと請われ、
んなこと言われても思いつかんわと一旦は断ったものの、
降ってきたアイデアにおぉ!これだ!とやっぱり引き受けることにしたんだとか。
 
一人暮らしの女子大生ダニーは情緒不安定。
気分が落ち着かなくて、恋人のクリスチャンに何度も電話をかけてしまうから、
クリスチャンはかなり辟易、友人たちから別れろと言われている。
踏ん切りがつかずに電話に出ては優しくなだめていたが、
ある日、ダニーの妹が実家の両親と無理心中を図り、3人とも亡くなる。
 
家族全員を一度に亡くしたダニーはますます体調が悪くなる。
あまりの落ち込みようを見ていられないクリスチャンは、
男友達だけで行くはずだったスウェーデン旅行につい彼女を誘う。
 
誘ったところで来ないだろうと思っていたのに、ダニーは参加すると言う。
一同が向かったのはスウェーデンの田舎の村ホルガ。
クリスチャンの友人のうちのひとり、ペレの故郷らしい。
 
ホルガでは90年に一度開かれるという特別な夏至祭がおこなわれる予定で、
各地の夏至祭を研究のテーマにしているジョシュ、女にしか興味のないマーク、
そしてクリスチャンとダニーがペレの案内でホルガへ到着。
 
草原の続く奥地にその村はあり、開けた場所には太陽が降り注いでいる。
村人たちは一様に白い衣装に身を包み、笑顔を絶やさず親切。
やがて始まる神秘の祝祭を一同は体験することになるのだが……。
 
もうなんというのか、絶対変態ですよね。奇才か鬼才か知らんけど。
 
一見皆善人。でもなんだかおかしい。
全員が家族との認識で、年齢層ごとに眠る場所が決められている。
自然を崇拝し、自給自足の生活をしています。
こういう自然崇拝の信仰をペイガニズムというんだそうで。
 
ネタバレになりますが、一定の年齢以上は自ら死ぬのが当たり前で、
その命は生まれてくる赤ん坊に引き継がれるという考え方。
だから、死んだ人の名前を赤ん坊に付けるのです。
この自殺のシーンがえげつない。
高い崖から身を投げて、顔がぶっ潰れるのは見たくなかった。
万が一、飛び降りて死に損ねた場合は、でかい鉈だかなんかで息の根を止められる。
『ヘレディタリー』よりはグロ度低めですが、変態度は高い(笑)。
 
村の秘密を持って外に出ようとする「よそ者」は容赦なく殺され(具体的なシーンは無し)、
近親相姦になりがちなコミュニティに、新しい血を入れるべくよそ者を引き入れた村人は英雄です。
意図的な近親相姦で生まれた奇形児は神の啓示を皆に伝える役割を持っている。
どうです、めちゃくちゃ変でしょ。
 
変なんですけど、変だというだけには思えなかった。
かつては首狩り族を野蛮だと思っていた私ですが、
『セデック・バレの真実』(2013)を観て印象が変わりました。
自分たちの文化とだけ比較して、野蛮だとか変だと言ってはいけない。
本作のようなコミュニティがあるとしたら、私自身は理解できないけれど、
頭から否定してはいけないんじゃないかという気もします。
 
夜になっても暗くならない、
白夜の狂気には『フィンランド式残酷ショッピング・ツアー』(2012)を思い出したりもして、
観たら死ぬまで忘れられそうにない作品です。結構好きかも♪
でも人に薦めたら変態だと思われるので、よう薦めません。(^^;
今日から上映時間170分のディレクターズカット版も公開。こりゃ観に行っちゃうな。

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