『心が叫びたがってるんだ。』
監督:熊澤尚人
出演:中島健人,芳根京子,石井杏奈,寛一郎,西山潤,荒川良々,大塚寧々他
主人公の女子高生はストレスから声が出ない病に罹っている。
なんて話、絶対に私の苦手な「がんばってるアピール」が強いに決まっている。
そう思って手を出すつもりはなかったアニメ版『心が叫びたがってるんだ。』(2015)。
ところが確か通算3度目のTOHOシネマズ1ヶ月フリーパスポートをつくったのが
ちょうどアニメ版の上映時期でした。
タダなら観ておこうという程度だったのに、きっちり泣きました(笑)。
今回はフリーパスの有効期限が切れてからの上映だったけれど、
アニメ版の印象が良かったのもあり、わざわざムビチケを購入。
しかしイマイチ客の入りがよくなかったのでしょう、
封切り翌週末には上映回数が激減していたため、
焦って平日の仕事帰り、109シネマズ箕面にて鑑賞。
アニメ版の細部まで覚えているわけじゃないけれど、実写版とほぼ同じ。
女子高生の成瀬順(芳根京子)は、しゃべると激しい腹痛に襲われるため、
学校では誰とも口を利くことができず、もちろん友だちもいない。
幼いころはおしゃべり好きの明るい少女だったのに、
お城を模したラブホから父親(平原テツ)が出てきたのを目撃、
それを無邪気に母親(大塚寧々)に話したせいで両親は離婚。
去り際の父親からおしゃべりを咎める酷い言葉を投げつけられ、
以降、まったく話せなくなってしまったのだ。
ある日、担任の城嶋(荒川良々)から毎年恒例のイベント“地域ふれあい交流会”、
通称“ふれ交”についての告知がある。
どうせ立候補者はいないだろうと、城嶋は実行委員として生徒4人を勝手に指名。
あろうことか、言葉をいっさい発しようとしない順が含まれていた。
あとの3人は、心を隠しつつ誰とでも上手くやっている坂上拓実(中島健人)、
チアリーダー部の部長で人気者の優等生、仁藤菜月(石井杏奈)、
甲子園出場を期待されながらヒジを壊した野球部のエース、田崎大樹(寛一郎)。
ふれ交になんて誰も期待していない、面倒くさいだけ。
毎年無難な合唱などで済ませてきたが、城嶋はミュージカルに挑戦してみないかと言う。
クラスメートたちに提案するまでもなく、絶対イヤだと4人は反発。
順は実行委員そのものから降ろしてもらおうと城嶋に手紙を書くが、
城嶋は「古今東西、ミュージカルでは奇跡が起きる」と自信ありげ。
しゃべれなくても歌えるかもしれないと順も思いはじめ……。
まぁこういう物語ですから、熱いし、クサイんです。
でも、アニメ版同様、がんばってるアピールがそれほど強くはない。
私こんなにがんばってるのに、という感じではなく、
順の適度ながんばりようが、クラスにまとまりをもたらすのはイイ。
熊澤尚人監督の青春ものはわりと好きです。
『虹の女神 Rainbow Song』(2006)、『おと・な・り』(2009)、
『君に届け』(2010)あたりまではみんな好きでした。
『近キョリ恋愛』(2014)でもうええかなと思いましたが、やはり王道の安心感あり。
またこれかよということなく、いろんな路線で撮ってみてほしいです。
次の公開作品はちょっと毛色のちがう『ユリゴコロ』。
ついつい読んでしまう沼田まほかる原作で、吉高由里子主演。楽しみです。
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