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『歓楽通り』

『歓楽通り』(原題:Rue des Plaisirs)
監督:パトリス・ルコント
出演:パトリック・ティムシット,レティシア・カスタ,ヴァンサン・エルバズ他

第二次大戦後のパリ。
娼館がすべて営業停止となり、行き場を失った娼婦たち。
ほかに生きるすべを持たない彼女たちは、街娼として日銭を稼いでいる。
そんな彼女たちのあいだで伝説となっている娼婦マリオンと、
彼女にすべてをかけて愛したプチ=ルイの物語。

プチ=ルイは娼館オリエンタル・パレスで娼婦と客の間に生まれた。
娼館では娼婦全員がプチ=ルイの母親。
女性ばかりに囲まれ、かわいがられて育ったプチ=ルイの夢は
女性に仕えて一生をまっとうすること。
中年となったいまも娼館で忙しく彼女たちの世話をしている。
いつか「運命の女性」に出会えると信じて。

そんなある日、オリエンタル・パレスに新入りの娼婦マリオンがやってくる。
一目見た瞬間に、彼女こそが自分が仕えるべき女性だと、プチ=ルイは確信する。

プチ=ルイの願いはマリオンから愛してもらうことではない。
マリオンが幸せになるために仕えることこそが彼の願い。
自分ではマリオンを笑わせられない。
マリオンが心の底から笑えるように、彼女の「運命の相手」を見つけたい。

美しい容姿と声に恵まれたマリオンは、
プチ=ルイの勧めでABC劇場のオーディションを受け、見事合格する。
その帰り、マリオンはディミトリという男性と出会い、恋に落ちる。

マリオンの幸せそうな顔を見て、
ふたりのために仕えようとするプチ=ルイだったが、
ディミトリは闇市の品物をくすねたお尋ね者で……。

マリオンを演じるのはスーパーモデルのレティシア・カスタ。
ビデオのジャケットはコルセットに身を包んだ彼女で、
タイトルのまま、ケバい雰囲気が漂います。
ちょっとレンタルするのも気がひけそう。

でも、内容はものすごい純愛なのです。
ハゲてて、眠そうな目のオヤジ、プチ=ルイの、
見返りを何も求めない献身的な愛にキュ~ンとなります。
そんな彼だからこそ、娼婦はみんな彼の味方。
マリオンが誘拐されたときも、娼婦たちが総出でプチ=ルイに協力するなど、
からだを張って生きる彼女たちの温かさも伝わります。

小粒ながら(名匠に失礼か)、
酸いも甘いもじゅうぶんに知り得る佳作です。
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