『Playground/校庭』(原題:Un Monde)
監督:ローラ・ワンデル
出演:マヤ・ヴァンデルベック,ギュンター・デュレ,カリム・ルクルー,ローラ・ファーリンデン,
エルザ・ラフォルジュ,レナ・ジラール・ヴォス,シモン・コドリー,テオ・マールテン他
ベルギーの新鋭ローラ・ワンデル監督の作品をテアトル梅田にて。
小学校入学の初日。不安いっぱいの少女ノラは兄アベルに抱きついて離れない。
アベルは「休み時間に会えるから」と言って校内へ。
見送りに来た父親もノラのことが心配でならないが、保護者は立ち入り禁止だと言われて仕方なく離れる。
お昼休みには食堂で一旦席に着くも、アベルを見つけたノラは駆け寄ろうとする。
しかし、食事中は移動禁止。すごすごと席に戻るが、食欲なんて出ない。
休み時間の校庭で兄の姿を探してまたしても駆け寄るが、
同級生たちと遊んでいたアベルはノラをじゃまもの扱いして「あっちへ行け」と言い……。
幼稚園の入園日、私は園庭で泣いて母親に抱きつき、離れたくないと言った口です(笑)。
そのせいで背の順に並ぶと私の前後にいた女児ふたり(いとこ同士でした)に2年間いじめられるはめになりました。
泣いた私が悪いのか。このふたりのことは死ぬまで忘れません。
そんな悲しい思い出があるから、お兄ちゃん大好きっ子のノラがいじめられるのかと思っていたら、違った。
おそらくきっかけはノラにあるのでしょうけれど、アデルがいじめられるようになる。
殴られ蹴られるなんて序の口で、便器に顔を突っ込まれ、ゴミ箱の中に放り込まれる。
このいじめに比べたら、私が受けたいじめなんていじめとも言えないほどでしょう。
整列中に頭から砂をかけられて(と言っても帽子の上からだし)、「アンタなんか」と面と向かって暴言を吐かれる程度です。(^^;
いじめられているなんて格好がつかないアデルは、先生にも父親にもチクるなとノラに言います。
「言ったら殺す」とか「死ね」とか小学生の口から普通に出てきちゃうんですもんね。
お兄ちゃんがいじめられていることを訴えたいけれど、言えずにいるノラの葛藤。
そこはまだチビっこだから、「言えないの」ということで父親にはバレる。
アデルがいじめられっ子になる一方で、心配されたノラには普通に友だちができます。
だけどお兄ちゃんがいじめられていることがわかると、今度はノラからも友だちが離れてゆく。
すると、お兄ちゃんのことが疎ましくなってしまうのです。
保護者らの間で話し合いが持たれたことでアデルへのいじめはなくなりますが、
いじめの対象がアデルではなくなっただけ。どこまでも続くいじめ。
子ども時代は過酷です。
ノラを演じた子役のマヤ・ヴァンデルベックが素晴らしい。
このまま彼女の心の傷にならないか心配なぐらい。
最後のハグが未来につながりますように。
—–