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『パークアンドラブホテル』

『パークアンドラブホテル』
監督:熊坂出
出演:りりィ,梶原ひかり,ちはる,神農幸,津田寛治,光石研他

「その街のラブホテルの屋上には小さな公園がありました」。
大阪は十三の第七藝術劇場で公開され、
行こう行こうと思っているうちに終映。DVD化を待っていました。

新宿の古びたラブホテル「流水」。
休憩のみ、宿泊には対応せず。休憩3時間2,500円なり。
オーナーの艶子がフロントから清掃まで一人でこなす。

大きなリュックを背負った銀髪の少女、美香は
たまたまこのホテルの前を通りかかり、
ラブホとは無関係と思える老人や小学生が次々と入って行くのを見かける。
美香もそれに続いてみると、一行は屋上へ。
扉を押し開けると、そこは遊具やベンチが設置された公園となっていた。

ラブホの屋上に広がる憩いの場。
日が暮れるまで人びとは気ままに語らい、遊び、
月が姿を現すと家路につく。

帰るところがない美香は、屋上に建てられた小屋に潜むが、
艶子に見つかってこっぴどく叱られる。
しかし、艶子は美香を追い出すでもなく、食事と寝床を用意する。
家庭の問題で揺れる美香は、次第に気持ちが和らぐのを感じる。

美香が出て行ったあと、艶子のもとを訪れるのは、
毎日この付近をジョギングで通りかかっていた主婦、月。
16年間、艶子とは挨拶を交わすだけの仲だったが、
ある日突然、ここで働かせてほしいと申し出る。

艶子に代わってフロントにすわる月。
やってきた客は若い女性、マリカ。
彼女はここの常連客で、毎回ちがう男性を連れてくる。
なぜか銀色のアタッシュケースを持ち歩き、いつも不機嫌な態度。
艶子とマリカは顔を合わせれば喧嘩しているが、
マリカは決してほかのラブホへ行こうとしない。

こんな女主人と3人の女性との心の交流を描いています。
すっぴんでぶっきらぼうな艶子を演じるりりィは圧倒的な存在感。
懐かしいですね、1974年の大ヒット曲『私は泣いています』。

ラブホテルを舞台にしながら、ドロドロ感がまったくないのが、
本作の良いところでもあり、物足りないところでもあり。
やはりピンサロ街にある七藝で観たほうが情緒があったかな。

DVDに収録されているオマケの短編『珈琲とミルク』。
小学生カメラマンの「ミルク」が
12歳年上の喫茶店の女店主「珈琲」に恋をします。
聾唖の珈琲になんとか「音」を伝えたいと、
ミルクは音が聞こえそうな写真を撮り始めるのですが……。
私はこのオマケのほうにキュン。
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