『ボウリング・フォー・コロンバイン』(原題:Bowling for Columbine)
監督:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーア,マリリン・マンソン,チャールトン・ヘストン他
昨年度のカンヌ映画祭をおおいに湧かせ、
アカデミー賞ではドキュメンタリー作品賞を受賞。
監督は受賞式のスピーチで、「ブッシュよ、恥を知れ!」と吠え、
拍手喝采とブーイングの嵐を同時に浴びました。
1999年にコロラド州のコロンバインで起きた高校生による銃乱射事件を基に、
アメリカの銃社会を徹底的に批判しています。
銃がたやすく買える国はアメリカだけではないのに
なぜアメリカだけで射殺事件が多発するのか。
全米ライフル協会の会長を務めたチャールトン・ヘストンは、
アメリカには「暴力の歴史」があるからだと得意げに答える。
しかし、あのヒトラーのドイツでも、南京大虐殺の日本でも、
射殺事件は数えるほどじゃないかとムーアは詰め寄る。
人種が多様だからとヘストンは言うけれど、
全人口の13%を他の人種が占めるカナダでは
人びとは出かけるときにドアに鍵さえかけないらしい。
なぜ、アメリカ国民だけが弾丸を込めた銃を持ち、
いつでも撃てるようにしているのか。
マリリン・マンソンの言葉がおもしろい。
コロンバインの犯人の高校生ふたりがマンソンの歌を好んで聴いていたという理由から、
彼は非難の標的にされる。
事件が起きるわずか1時間前に、アメリカがコソボで大規模の爆撃をおこなった事実はどこかに追いやられて。
マンソンは、「アメリカという国では、国民に恐怖を抱かせて物を買わせるのだ」と話している。
通りを歩けば誰かに襲われる、家には強盗が押し入る、
ぐずぐずしていると戦争をしかけられるかもしれない。
だから銃を持とう、殺(や)られる前に殺ろう。
マイケル・ムーアは突撃取材で有名なジャーナリスト。
まったくアポなしで先方へ乗り込むことから、
その名はホワイトハウスにもとどろきわたり、恐れられているそうです。
アメリカの銃社会の歴史を漫画で表してみたり、
カナダ人は本当にドアに鍵をかけないのか抜き打ち調査してみたり、
コロンバイン事件の被害者で一命をとりとめた青年とともに
弾丸の販売中止を求めてKマートへ出向いてみたり。
前述の『アザー・ファイナル』とはあまりにちがうドキュメンタリー。
実は『ベン・ハー』(1959)は未見なのですが、
チャールトン・ヘストンがあまりにアホに見えて、
もしかするとこの先、『ベン・ハー』はよう観んかもしれん。
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