読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3442ページ
ナイス数:849ナイス
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■切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人 (角川文庫)
多作の作家だというのに長年読まず嫌いだったせいで未読本が山積み。同じ作家はできるだけ続けて読まないようにしていることもあって、このシリーズを最初から読もうものなら映画公開中の第4作にいつたどり着けるかわからないから、そっちを先に読みました。で、別の作家の著作を2冊挟んでやっと第1作へ。超優秀なのに女性の嘘は見抜けない、しかもそれを自覚している犬養とチャラそうでチャラくない古手川のコンビにワクワク。勘は非科学的ではない、何かしら根拠があるという話が面白かったけど、でもそれじゃ勘とはいわない気もします(笑)。
読了日:12月02日 著者:中山 七里
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■コンビニであった泣ける話 ~日常の中で起きた非日常の出来事 (ファン文庫Tears)
映画を10本観たら7割の確率で泣くほど涙もろいほうですが、泣けることをウリにしている本や映画は正直に言って好きではありません。むしろ嫌い(笑)。感動を押し付けないでほしいと思ってしまう。だから本作を手に取ったのも、頁数と字の大きさゆえの「すぐ読めそう」という理由に他ならない。「感動して泣ける」と言われると、私はどんどん冷めてしまうのです。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』まんまみたいな話もあって、すんません、泣けないよぉ。それでもいくつかは多少ウルッと来る話もある。書店バージョンもあるなら、読んでみよかと思ったりも。
読了日:12月03日 著者:朝来みゆか,一色美雨季,小野崎まち,貴船弘海,楠谷佑,杉背よい,天ヶ森雀,遠原嘉乃,猫屋ちゃき,ひらび久美,溝口智子,矢凪,丸紅茜(イラスト)
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■畏修羅 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)
パグ男より酷い奴、参上。生臭坊主が奴を指して「遊び人の風上にも置けぬド素人」と評するのに笑った。なにしろパグ男が一瞬恋しくなるぐらいの酷さだから、こんな奴、せいぜい祟られたらええやんと思うのですけれど、見殺しにはしない春菜ちゃん偉い。序盤の仙龍と春菜のやりとりにはこっちが照れる。何その高校生みたいなやりとりは。これ読んでニヤけてる自分にまた照れる。昔の因縁ではなく、今まさに生じた因縁である点が本シリーズとしては新鮮。面白半分で近寄っては駄目な場所がどこにでもあるということを肝に銘じます。浄化は近いのかな。
読了日:12月06日 著者:内藤 了
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■平凡 (新潮文庫)
高校生のとき、飼っていた猫が亡くなりました。数日前からから寝たきりだったのに、亡くなる前日に立ち上がり、庭に出たいと鳴きました。見納めのように庭をよたよた歩くのを見ていられなくなった私は、「もうええやん」と猫を抱き上げました。翌朝死んだとき、「昨日抱き上げないほうがよかったのかも」と泣く私に、弟が「そのまま歩かせてたら、そのせいで死んだと思ったやろから、これでよかってんで」と言いました。もしこうしていたら、していなかったら。人生いろいろ考えるけれど、そのときの選択には理由があるのだから。きっとそれでいい。
読了日:12月11日 著者:角田 光代
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■悪い夏 (角川文庫)
生活保護の不正受給者に相対するケースワーカーの正義の話かと思いきやそうじゃない。脅し脅され巻き込まれ、誰も彼も転落していくばかり。小さな幸せすらどこにも転がっていません。そんな中で、私が気の毒だと思えた登場人物はひとりだけ。最後の修羅場は凄惨すぎて笑ってしまうほど。「鬼畜ノワールサスペンス」ってどんなカテゴリーやねんと帯を見ながら思っていたけれど、もうそうとしか表現しようがない。唯一の救いは、彼女が母性とはこういうものだと自分でも感じられたであろうこと。夏の設定でよかった。場面が冬なら余計に心が凍りつく。
読了日:12月13日 著者:染井 為人
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■透明カメレオン (角川文庫)
ずっと、好きとは言いがたいのに読んでしまう作家でした。いくつかは凄く好きな作品もあったけれど、ひねくれすぎだと思う作品のほうが多かったから。でもこれはなんだろう、あったかい。変形版伊坂幸太郎みたいな印象も。BAR ifはもともとあったはずなのに、ifを考える人たちの集う場になっていたんですね。ちょっとホロリ。自分を呪い続ける彼らに新しい「いま」をつくるラジオDJ、ええやん。誰もが振り向く声とギャップが大きすぎる容貌は想像しづらくて、恭太郎をイメージできないから、どなたか具体例を挙げてもらえませんか(笑)。
読了日:12月16日 著者:道尾 秀介
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■鵜頭川村事件 (文春文庫)
そうでなくても閉ざされた村なのに、豪雨に見舞われて完全に孤立。そんな中で起きる殺人事件。シチュエーションとしては珍しくないけれど、村全体が狂気に走るさまは予想せず。何でもありの状態になったときは、映画“パージ”シリーズを思い出して笑っていたのですが、終盤に近づくにつれ、映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』が頭に蘇って笑えなくなりました。私が「総括」という言葉を使えなくなったきっかけの映画です。如何せん登場人物が多すぎて、誰が誰の子やら把握しづらいから、あっちの子だったと言われてもピンと来ん。(^^;
読了日:12月19日 著者:櫛木 理宇
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■ミセス・ノイズィ (実業之日本社文庫)
書店で薄い本を探していたら、映画版を観た本作が目について。監督ご本人によるノベライズ。朝6時前からベランダで布団をガンガン叩くおばちゃんは確かに迷惑だけど、主人公である女性作家の態度が鼻について、映画鑑賞時は序盤イライラの連続でした。展開を知っているから本ではそれほどでもなく。お供え泥棒疑惑そのほか、映画では一瞬でわかりにくかったことも本を読むと大納得。最後だけは本じゃ物足りないかもしれないので、映画もぜひご覧いただきたい。優しいエピローグが待っています。ある程度の音は聴く側の心身状態で聞こえ方がちがう。
読了日:12月25日 著者:天野 千尋
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■ゴー・ホーム・クイックリー (文春文庫)
大人になったら憲法のことも勝手にわかるようになるのだと思っていました。大人になってからン十年、勉強せずに来たら何もわからないまま。自分の無知を暴露するようですが、日本国憲法は日本人が考えた憲法だと思っていたので、米国から差し出された原案を翻訳して作ったものだということに驚き、これはモキュメンタリーなのかと訝ったほどです。恥ずべき私の物知らずぶり。難しくて読むのが大変だったけど、知ってよかった。原案があったとはいえ、日本人が考え抜いたことには間違いありません。白洲次郎が佐藤達夫を抱きしめるシーンには私も涙。
読了日:12月30日 著者:中路 啓太
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■あの日、君は何をした (小学館文庫)
この人の本を読むと、いつもやるせなさに襲われます。手の届かない幸せを望んでいたわけじゃない。「普通」に幸せな生活を送り、それを当然と思うことなく感謝もしていた。なのに地獄へ突き落とされ、まともではいられなくなる。母親が狂気に走るさまは尋常ではなくて共感できないけれど、子どもを失うということはこれほどのことだと思わなくもありません。「私の気持ちなんて誰もわからない」、でももしかするとその言葉をぶつけた相手が自分以上に酷い目に遭っている場合もあるのですね。刑事の三ツ矢に惹かれます。彼こそが救われんことを願う。
読了日:12月31日 著者:まさき としか
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