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2018年12月に読んだ本まとめ

2018年12月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3217ページ
ナイス数:869ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■阪堺電車177号の追憶 (ハヤカワ文庫JA)
うわっ、電車がしゃべってる。きかんしゃトーマスみたいやなと思ったら、ずっと電車目線なわけではありませんでした。戦前、戦時中、戦後、バブル期を経て現代に至るまで、85年にわたって走り続けた路面電車177号の周辺で、本当にこんなことがあったかもしれないと思わされます。普通の人情話かと思いきや、ちょっとしたミステリー仕立てになっている。大阪といっても、淀川と大和川の向こう側。特にこてこての大阪弁なので、大阪弁に抵抗のある人にはツラそう。大阪に思い入れのある人なら懐かしさ満点。淀川より北育ちの私もなぜか懐かしい。
読了日:12月04日 著者:山本巧次
https://bookmeter.com/books/12289931

■瑕死物件 209号室のアオイ (角川ホラー文庫)
怖そうだからやめとこと思っていたのに、つい買ってしまったうえに、うっかり最後の頁を開いてしまったのです。ぎょえ〜っ。瀟洒なマンションの209号室にまつわる怪異。その部屋に住む美少年アオイと関わる者に異変が起きる。少しずつからめとられてゆく心。終始不穏な空気が漂っていて、明るい気持ちになれるところなんてひとつもない。最後は良い結末なんだわとぬか喜びすらできず。だって、最後のひと言を先に見てしまったから(笑)。現在公開中の「直近50年で最も怖い映画」と評判の『ヘレディタリー』よりも私はこっちのほうが怖かった。
読了日:12月07日 著者:櫛木 理宇
https://bookmeter.com/books/13181140

■京へ上った鍋奉行 (集英社文庫)
どんだけ食い意地張ってるねん、このお奉行様(笑)。『みをつくし料理帖』のように上品ではないけれど、大好きなシリーズです。脇を固める用人、同心、飯屋のお婆、皆なんとも魅力的。各章二本立てで進む謎に満ちた話が、食を通じて一つになるのが小気味よし。人はたいてい日に三度、食事をする機会がある。誰かが心を込めてつくってくれたものを真剣に食べるべしということを食いしん坊のお奉行様から教えられている気がします。第3弾までよりも少し印象が薄いけれど、ふき出してしまうシーンもホロリとさせられるシーンもあり、やめられない。
読了日:12月09日 著者:田中 啓文
https://bookmeter.com/books/9018323

■ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】原作では琴子とぼぎわんのバトルが激しすぎ、何がどうなっているのやらわかりにくかったので、こうして映像で見せてもらえるのはいいなぁ。原作と同じかどうかは別として(笑)。もう全国の霊媒師祈禱師ありったけ呼び寄せて祭りのようになっています。ラストは原作よりもずっと和んで落ち着ける、正真正銘のハッピーエンド。しかし白眼むく登場人物が多すぎて、夢には見そうです。いちばん怖かったのは、盛り塩を蹴散らしてニッコリ微笑む黒木華だったかも。小松菜奈は新境地、すごく好きになりました。
読了日:12月11日 著者:澤村伊智
https://bookmeter.com/books/12655058

■ギリギリ (角川文庫)
わざわざつきあう必要もないのにつきあってしまうは何故。「結婚相手の女性の姑」って。夫と死別した女性と結婚することになったとしても、その女性の姑の買い物につきあいますか。その女性は女性で、亡き前夫の不倫相手からの誘いを断れずにいる。わざわざ面倒くさいつきあいに乗ってしまう人たちの連作短編集。そういうつきあいを選ぶのも悪いことばかりじゃないかも。各章のタイトルが4文字の片仮名なのが面白い。女性陣よりもかの男性に肩入れ。さしてギリギリでもない気はするけれど、ちょっぴり切なくて○。読みやすくて息抜きには最適です。
読了日:12月13日 著者:原田 ひ香
https://bookmeter.com/books/13182314

■LEAK 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)
同じ作家を続けて読まないように心がけていたのに、このシリーズを3冊続けて読んでしまったのが先々月のこと。そろそろ次に行ってもいいよね自分に尋ねて4冊目。久々に開くとプロローグにもうワクワク。よくもこんなにえぐい殺し方を考えつくものです。遺体の描写については想像力を働かせずに読むのが得策。ホルモンとか焼肉とかやめて(泣)。猟奇殺人と特殊詐欺事件がどこで繋がるのか見もの。切ない読後感も好き。肉まんにホットココアの組み合わせは私は要らん(笑)。あれ?そういえば秋葉原の第一発見者、どうなりました?どうでもえっか。
読了日:12月17日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/10124109

■パンダを自宅で飼う方法 珍獣ペット化シミュレーション (文春文庫)
今月は空いた時間をすべて劇場での映画鑑賞に当てているため、本を読む時間がないんです。でも10冊に満たないのも寂しくて、本屋で目に入ったいちばん薄い本がこれでした。そんな不純な動機で読み始めたら、お、オモロイやんか。入手難易度、飼育難易度、飼育危険度、なつきやすさを5段階で示し、その比較対象が犬だったりするのも可笑しい。スベリ気味のおやじギャグ的一文も時に見受けられますが、それも含めて軽妙かつ真面目。キリンを散歩させるときには毎度許可が要るとかいろいろ驚かされました。手元に置いてたまに読み返したくなりそう。
読了日:12月23日 著者:白輪 剛史
https://bookmeter.com/books/11088611

■メルカトル (角川文庫)
「映画三昧で本を読む時間がつくれないから、とにかく本屋で目についたいちばん薄い本を買う」の第2弾。のはずだったのに、思いのほか読むのに時間がかかってしまい、何やっているんだか(笑)。時間がかかったのはつまらなかったからではなく、その逆。丁寧に読みたくなるし、丁寧に読まないとついていけなくなる。まるで翻訳ものを読んでいるかのようで、乙一『銃とチョコレート』なんかを思い出しました。異国の港町、地図収集館に勤める17歳の静かな日常がミステリーに引き込まれてワクワク。この表紙、素敵です。絵本でも読みたいぐらい。
読了日:12月28日 著者:長野 まゆみ
https://bookmeter.com/books/12687398

■すべてのJ-POPはパクリである (扶桑社文庫)
年の暮れに冊数を稼ぐために積読本の中から読みやすそうな本を選ぶ。マキタスポーツ、インパクトのある芸名の役者ぐらいの認識だったのが、BS12で放映中の『ザ・カセットテープ・ミュージック』で見る目が変わる。序盤はイマイチだけれど、第3章のモノマネ論と第4章の人格/規格の見立て話が出色。『ボヘミアン・ラプソディ』を14回観た私としては(劇場鑑賞294本中)、モノマネについて「その通りにやって感動を起こせるわけではない」に唸りました。ヒット曲の法則になるほど。本よりも、本人が話しているところを聴きたい気はします。
読了日:12月30日 著者:マキタスポーツ
https://bookmeter.com/books/12806632

■今宵、喫茶店メリエスで上映会を (角川文庫)
シャッター街の中にある、かつて映画の上映会をおこなっていた喫茶店。好みの設定だと思って読み始めたけれど、そこに日常の謎も絡むのか。最初のうちはたいした謎でもなさそうだったのに、ヘヴィー級も。しかも虐待を受けている子と親がこんなにあっさり関係を修復できるのがなんだか。みんな善人っぽくて、でもおせっかい。それがこの商店街のいいところだとは思いますが、映画の見方について教育するような雰囲気で、ちょっと説教臭さも感じてしまいました。映画は人それぞれ、好きなように楽しめばいいと思うから、この諭し方には馴染めません。
読了日:12月31日 著者:山田 彩人
https://bookmeter.com/books/8177987

■奇跡の本屋をつくりたい くすみ書房のオヤジが残したもの
自分で読む本は自分で選べばいいと思います。でも、本屋に置かれているのは「売れる本」だという現実。「売れない本」は置かれないことが多いから、ますます売れない。売れない本の中にも誰かの心を動かす本が必ずあるはず。売れない本こそを置いていた本屋。本書を書き上げることもできないままお亡くなりになってしまったのは志なかばで無念でしょう。誰かがその思いを引き継がなければ。いくらネットで本が買えるようになったからって、電子書籍が読めるようになったからって、やっぱり紙の本はなくなってほしくない。本屋に消えてほしくない。
読了日:12月31日 著者:久住邦晴(くすみ書房・店主)
https://bookmeter.com/books/13090762
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