2018年8月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3591ページ
ナイス数:909ナイス
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■廃墟に乞う (文春文庫)
お酒を飲みつつ読みはじめたら何度も寝そうになり、頭をシャンとさせてから翌日読み直す✖️3回、思いのほか読了までに日数を要しました。だからって、面白くないということではありません。休職中の刑事が助言や協力を求められ、いくつかの事件を解決へと導く。休職中も仕事しているようなものだから、頭も心も休んじゃいないのですが、関わることがリハビリになっているわけで。面白いのに何度も寝そうになってしまったのは、淡々としていて地味すぎるから。泣かせにかかるようなあざといシーンも無駄もなし。だから余計に心にぽっかり穴が空く。
読了日:08月05日 著者:佐々木 譲
https://bookmeter.com/books/4560160
■カレーなる逆襲! ポンコツ部員のスパイス戦記 (文春文庫)
大学のカレー対決。片方は「俺らがなんでカレーつくらなあかんねん」と不満いっぱいの野球部。パンチの効いた設定に終盤まで面白く読んでいたのに。身内に化学調味料アレルギーがいるものだから、最後にガックリ。カレーを美味しくするドーピングアイテムのうち、最後に明かされるのが化学調味料だなんて。そこに頼るなら、これだけ手間暇かけてつくる意味が私にはわからん。最初から「味の○」放り込んどけよっちゅう話です。著者が食事自体あまり好きでないとあとがきにあるのを見て納得。カレー対決と野球を上手く取り込んでいるだけに残念至極。
読了日:08月06日 著者:乾 ルカ
https://bookmeter.com/books/12879493
■あの人が同窓会に来ない理由 (幻冬舎文庫)
裏表紙には「大人のための青春小説」とあるけれど、イヤミスだったりしてと最後まで疑ってしまう進み方。同窓会の幹事を務めることになった3人。幹事あるある、てんこ盛り。ちょっとお節介が過ぎると思いつつも、いろいろ考える。学生当時ほとんど話したことのなかった同級生と会うと、タメというだけでめっちゃ話ができて、なんだ昔もっと話せばよかったと思うこともしょっちゅうで。いくら案内を送っても無反応の人に、もう連絡するのはやめようかなと思っていたまさに今年、こんなのを読むと、もうちょい続けて送ってみるかと思い直すのでした。
読了日:08月08日 著者:はらだ みずき
https://bookmeter.com/books/13040719
■この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)
世の中カネだよカネ!という投げやりに明るい話を想像していたため、暗い話にめげそうに。周囲も貧乏だから貧乏感薄。だけど貧乏は病気だと言う。著者の漫画に出てくる母ちゃんたちのパンチパーマの理由をようやく知る。アル中の父親を持ちながら、アル中を夫に選んでしまう事実。今は高須院長と仲良くお過ごしのようですが、彼女はどんな状況に幸せを感じるんだろう。以前住んでいたマンションの大家さんがとても良い人で、管理人さんにそう言ったら、「ま、お金のある人は心に余裕があるからね」とわりと冷ややかに返ってきたことを思い出します。
読了日:08月10日 著者:西原 理恵子
https://bookmeter.com/books/3199625
■完璧な家 (ハーパーBOOKS)
嫌だ嫌だ、こんな話。不幸中の幸い、肉体的な拷問を受けるわけではないので、目を覆いたくなるような描写はありません。でも、最高の相手と信じて疑わなかった男性が、女性を精神的にいたぶることを至上の喜びと感じる変態だったら。嫌だ嫌だと思いながら、主人公とその妹のことが心配で、最初から最後までひきつけられっぱなし。読み終わるまで止められない。原題は“Behind Closed Doors”。この邦題は巧いと思います。「完璧だ」が口癖の男とトイレまでついてくる男はいくらイケメンでも疑ってかかるべし。完璧、怖い(笑)。
読了日:08月13日 著者:B・A・パリス
https://bookmeter.com/books/11572291
■顔なし子
閉鎖的な田舎の村。まるで人の悲鳴のように聞こえる山鳴り。大きな柱時計。それにこのタイトル。心霊写真の話も出てはくるけれどホラーではない、辛すぎる物語。無骨な父が再婚相手として連れてきたのが超美人だったがゆえに不幸を生む。その連れ子の血の繋がらない兄となった主人公。細かな節毎に変わる目線に少し戸惑いつつも、希望を見出したくて最後まで。前向きな人など誰もいないかのような村で、いちばんあきらめているようでいて前を見ていたのは弟なのかもしれません。子どもに何かを託すな。託すなら任せて好きにさせろ。じわじわ来ます。
読了日:08月16日 著者:高田 侑
https://bookmeter.com/books/530247
■ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】ムビチケ購入特典のマスキングテープを見てニヤつきながら公開を心待ちにしていました。巨乳のお姉さんが放り投げたコーラ缶がペンギンに変わるなんて、森を抜けた草原にまんまるの海が浮いているなんて、と原作を読んで想像するのは楽しかった。こうして映像化されると、私の頭の中ではここまで想像できていなかっただろうに、できていた気にさせてくれるから不思議です。しかし、原作の最後の2行の、胸をキューッと絞られるような切なさには届かない。同じ台詞なのになぜかしら。森見さんのなせる技。
読了日:08月19日 著者:森見 登美彦
https://bookmeter.com/books/5586115
■侠飯5 嵐のペンション篇 (文春文庫)
第5作だから、読者は皆、柳刃&火野コンビの正体を知っている。知らぬは本の中のほかの登場人物のみ。今回の舞台は料理イマイチのペンション。宿泊客なのに柳刃がオーナーとバイトにアドバイス、料理どんどん旨くなる。某カレー対決小説を読んだときに、ドーピングアイテムが化学調味料というオチに怒りすらおぼえましたが、柳刃の料理は化調全開ではなく、絶妙のバランスで上手く使っていると想像します。やっぱりほしいがな、侠飯レシピ本。肝心の(?)ミステリーはもはやオマケ。料理の話があればそれで良いし、柳刃の説教なら聴けちゃうのよ。
読了日:08月21日 著者:福澤 徹三
https://bookmeter.com/books/12881763
■八月の青い蝶 (集英社文庫)
読みづらい文体だというわけではないのに、思いのほか読むのに時間を要しました。偵察機の話の部分に興味を持てなかったからということもあるけれど、とても丁寧に書かれた作品ゆえ、丁寧に読まなければならないような気がしたからです。死期迫って自宅に戻った老人の少年時代の思い出。初恋の相手は父親の愛人。特異な家庭環境にありながら、各々が各々の存在を認めていたことがわかります。あまりに瑞々しいシーンの後の被爆シーン。そのギャップに打ちのめされました。まるで合唱組曲『チコタン』だけど、心安らかに三途の川を渡れたならばいい。
読了日:08月23日 著者:周防 柳
https://bookmeter.com/books/10915590
■闘う君の唄を (朝日文庫)
理想を胸に着任した若き女性幼稚園教諭がモンペに立ち向かう、熱くて爽やかなお仕事小説。のまま最後まで行くわけがないのよ、この著者なんだから(笑)。そう疑ってかかっているのに、帯に頁まで明記されているとおり、254頁で口ぽかん、そう来たかと苦笑い。真犯人はきっと誰でも当てられるから、犯人探しのミステリーにはならないけれど、普通の町で起こり得る状況自体がスリリング。それにしても読書開始時と終了時でこんなにも印象が変わることって、そうそうない。しばらくは中島みゆきの『ファイト!」が頭の中をぐるぐる回ること、必至。
読了日:08月25日 著者:中山七里
https://bookmeter.com/books/13054087
■新装版 夏、19歳の肖像 (文春文庫)
中国で映画化されて昨日公開。心斎橋の劇場に行く電車の中で50頁まで読み、観終わってから読了。最初の出版が1980年代。全面改訂して出版されたのが2005年。そこからですら15年近く経過しているわけだから、ちょっぴり時代を感じます。映画版は今つくられただけあって、時代に合わせていろいろ改変。ミステリーの部分にはハイテクも駆使したために、原作とは異なる点もいろいろ。しかし、ひと夏の恋が描かれるのは同じ。中国映画版のふたりは超イケメンと美女なので、このビジュアルをイメージして読むと、童貞臭が消え失せます(笑)。
読了日:08月26日 著者:島田 荘司
https://bookmeter.com/books/556699
■ひゃくはち (集英社文庫)
映画版が大好きでした。原作未読のまま10年経ち、『イノセント・デイズ』を読んだときに同著者だと知ってたまげました。やっと原作を読んで再びたまげる。映画版は雅人らの高校時代のみ、原作は大人になってからの彼らと高校時代の彼らを織り交ぜながら。酒とタバコと合コン三昧の球児なのに、アホさに笑えて、切なくて、爽やか。終盤にさしかかるまでは絶品だと思ったけれど、妊娠判明後は個人的にイマイチ。映画版でいちばん好きだったシーンも原作にはないとわかってかなり残念。しかし、野球好きにはお薦めしたい。きっとますます好きになる。
読了日:08月30日 著者:早見 和真
https://bookmeter.com/books/3354606
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