去年読んだ本は145冊、今年はそれよりちょっとハイペースで、
今日までに152冊目のジェフリー・ディーヴァーを読了。
153冊目として一昨日読みはじめたのは、
第4回酒飲み書店員大賞の受賞作で、立川談四楼の『ファイティング寿限無』。
このような賞があることを知ったのはつい数カ月前で、
過去の同賞のノミネート作と受賞作を何冊か購入したばかり。
これは、師匠から「己に付加価値を見いだせ」と言われた若い落語家がボクシングに賭けるお話です。
一昨日それに着手したけれど、昨日出かけるときに持って出たのは、
浅田次郎の『オー・マイ・ガアッ!』。
だって、『ファイティング寿限無』は350頁を切る程度。
まだ家に150冊以上の未読本があるというのに、ついつい出先で読了してしまって、
本屋に入ってまた何か買ってしまうことがしょっちゅうあるため、
昨日は出先で読了はなさそうな、550頁超の『オー・マイ・ガアッ!』を持参。
一発でかいのを狙ってラスベガス入りした男女3人のバカ話で、すこぶる面白い。
と、153冊目には二股をかけているところですが、そんな話はさておき。
ずいぶん前から気にはなっていた西加奈子。
しかし、『きいろいぞう』の映画版がつまらなすぎて、原作に手を出せず。
今年、『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』を観たときに
大阪出身の人だと知って親近感は湧きましたが、それでも手を出せず。
どんだけ大きいねん、『きいろいぞう』のトラウマ(笑)。
『泣いたらアカンで通天閣』を観て、坂井希久子の原作が読みたくなったけど、
これはまだ文庫化されていなくて見送り。
そうしたら、『通天閣』というタイトルの西加奈子の文庫本が目に留まり、
270頁とわりと薄めの本だったこともあって読んでみる気に。
……めっちゃおもろいやんか。ツボにハマってしまいました。
主たる登場人物は2人。
1人は町工場で働く40代独身のオッサン。もう1人はスナックで働く20代後半の女。
何の接点もないように見えるこの2人の人生が交差します。
脇役も上手く絡んで、悲哀とユーモアに満ちていて大好きな小説になりました。
可笑しくてふきだしたシーンもいくつか。
女が働くスナックのホステスの風貌についての描写があり、
「ルーシー・リューからシャープさを取った感じ」なのですが、
「ルーシー・リューからシャープさを取ったらだいぶギリギリ」、これには大笑い。
その後読んだ『漁港の肉子ちゃん』。
肉子ちゃんってどんなタイトルやねんと思いましたが、これも秀逸。
太っているから肉子ちゃん、そんな彼女を母親に持つ美貌の娘・キクりん。
母娘がたどり着いた港町での暮らしが生き生きと描かれています。
西加奈子の小説には、がんばっていることをアピールはしない人がいっぱい。
『炎上する君』、『円卓』、『地下の鳩』などなど、
読点の打ち方や文体が独特なものもありますが、それぞれにおもしろかったです。
西加奈子って、大阪育ちではあるけれど、生まれはテヘランなのですよね。
マルジャン・サトラピ然り、不思議な才能が生まれる土地なのかもしれません。
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