仕事で文献に当たるときに、気になる本を見つけることがしょっちゅうあります。
『ホスト裏物語』(彩図社刊)もそのうちの1冊でした。
慶應大学卒の高崎ケン氏。
色白で少々ぽっちゃり系、決してイケメンとは言えず、背もそんなに高くない。
ホストなど自分に無縁だと思っていたのに、
酔っぱらって歌舞伎町を歩いているときにスカウトされます。
興味は惹かれたものの、自分にはサラリーマンとして普通に職がある。
即答できずにいると、スカウトしてきたミルクさんが「週1でもええから」と言う。
んじゃやってみるかと飛び込んだホストの世界。
文体がしっかりしているので、軽めながら軽すぎず。
ホストになる経緯いろいろ(スカウト、面接、紹介、その他)に始まり、
以前からどうなっているんだろうと好奇心を抱いていたドンペリの値段や、
客のタイプ一覧(冷血系、ノリノリ系、おばさん系、不思議ちゃん系、仲良し系、地味系)、
タイプ別の接客難易度や押さえるべきツボに、
客の種類(新規、フリー、枝、太客、エース)によるランク付け。
ホストの給料や寮の実情、涙ぐましい営業努力に興味津々。
これだけ読んでいたら「大変だけど楽しそう」と思えたでしょうが、
『東京難民』を観たあとでしたから、笑うことはできません。
華やかに見える職業も辛いこといっぱい、
やはり楽して稼ぐことなどできないのだなぁとしみじみ。
これと前後して読んだ『平成猿蟹合戦図』は吉田修一にしては珍しく明るい話でした。
こちらも歌舞伎町が舞台、バーテンの兄ちゃんが主役です。
轢き逃げ事件を目撃して、それをネタにゆすりをかけたら、
予想もしなかった厄介事に巻き込まれます。
厄介事を解決するために兄ちゃんが国政選挙に打って出るという、
あり得ない話ではありますが、読み応えのあるいい話。
歌舞伎町に興味が湧きます。
イケメンならば良いというものじゃないのは、ホストもAV男優も一緒。
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