前述の『阿修羅のごとく』の終盤、
縁側で深田恭子が喫煙するシーンがありました。
っちゅうてもふかしてるだけなんですが。
この姿の似合わんこと!
慣れないのに無理して一服といったところなので、
似合わないようにわざと見せているなら、それはそれで立派です。
私はタバコは吸いませんが、嫌煙家でもありません。
新幹線などの喫煙車両は勘弁してほしいけれど、
ほっとして一服するひとを見ると、ええなぁと思うこともよくあります。
映画を観ていると、ものすごくタバコの似合うひとと、
「やめときや」と言いたくなるひとがいます。
もし、いちばん似合うひとを挙げるとしたら、
私はジョン・トラヴォルタに1票。
タバコの持ち方、吸い方、立ち姿、そのすべてに惚れ惚れします。
彼が出演している作品なら、ほぼどれでもその姿を見られると思いますが、
『パルプ・フィクション』(1994)では
彼がユマ・サーマンのためにタバコを巻くところも見られます。
最近は嫌煙運動がさかんで、
タバコはなかなかおおっぴらに宣伝しづらい状況になっていますが、
以前はタバコ屋自体を舞台にした作品もありました。
『スモーク』(1995)がそれですが、
店主役のハーベイ・カイテルはもちろんタバコが似合います。
おっちゃんのほうがいい味出るんでしょうかね。
『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』(1997)はドイツの作品。
ヨーロッパの映画には喫煙シーンが登場することが多いですが、
この作品でもタバコが効果的に使われています。
とある病院で、脳腫瘍と骨肉腫でそれぞれ死期間近と宣告されたふたりの青年。
彼らはまだ一度も海を見たことがない。
死ぬ前にどうしても海が見たくなったふたりは、パジャマのまま病院を飛びだします。
途中、車を盗んで銀行強盗。
ところが盗んだ車はマフィアのもので、マフィアと警察の両方から追われるはめに。
最後にたどりついた海で、ふたりがタバコを吸うシーンが。
その昔、阪急ブレーブスが優勝したとき、大騒ぎの周囲をよそに、
ベンチの片隅で一服する上田利治監督の姿がひっそり映し出されたことがありました。
タバコに否定的なうちの母が
「あれ見て、タバコもええなぁと思ったわ」と言ったことを今でも覚えています。
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