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『ナースコール』

『ナースコール』(原題:Heldin)
監督:ペトラ・フォルペ
出演:レオニー・ベネシュ,ソニア・リーゼン,アリレザ・バイラム,セルマ・ジャマールアルディーン他

テアトル梅田にて、前述の『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』とハシゴしたスイス/ドイツ作品。監督は本作が長編3作目となるペトラ・フォルペ。ドイツ出身の女優レオニー・ベネシュが主演を務めています。

スイスの病院。人手不足にもかかわらず、患者を拒めずに常に満床の病棟看護師フロリアが遅番のシフトに入ると、3人体制のはずが1人欠勤で2人きり。あと1人いるにはいるが、見習いの実習生。携帯電話は病院の内外問わずひっきりなしに鳴り、そのたびに優先順位を見極めて対応するフロリアだったが……。

フロリアが病院内を行ったり来たりするだけの作品なのに、みなぎる緊迫感が半端ではありません。患者はさまざまだけど、そりゃ誰でも自分を優先してほしい。検査を受けて何日も経つのに、主治医から何の説明もなくて不安がる老人。便秘で入院し、処置後に認知症を発症したかのような老女。投薬の時間を過ぎていると苛立ちながら言いに来る女性。ナースコールをしてから病室に来るまでの時間を毎回計って嫌みを言う男性。禁煙を守らないアル中女性患者もいます。

ある患者がフロリアのことを天使だと言ったように、この看護師は本当に凄い。終始笑顔というわけでもないし、下手に慰めの言葉をかけたり希望を持たせたりなんてことはありません。淡々とひとつずつ仕事をこなす。しかし、不安に駆られている患者が落ち着けるように最善のことをする。時には子守歌を歌うことも。生身の人間でありながら天使なのです。

時間を計る男性患者、ベランダで喫煙する女性患者とのやりとりは傑作で、ニヤニヤしてしまいました。癌で亡くなった私のは泣き言ひとつ言わなかったけれど、同じく私のが「昼間はどうってことないねんけどね、夜はきついね。こたえる」と言っていたのを思い出し、本作の患者たちのような気持ちだったのかなと思いました。

世界的に深刻な看護師不足に陥っているそうです。この人たちに安らげる時間を。観てよかったと切実に思う作品でした。

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