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『災 劇場版』

『災 劇場版』
監督:関友太郎,平瀬謙太朗
出演:香川照之,中村アン,竹原ピストル,宮近海斗,中島セナ,松田龍平,内田慈,藤原季節,じろう,坂井真紀,安達祐実,井之脇海他

前述の『夜勤事件 The Convenience Store』の後、同じくなんばパークスシネマにて。前日の『おさるのベン』からホラー3連チャンとなりました。

東京藝術大学大学院映像研究科の佐藤雅彦研究室から生まれた映画制作プロジェクト“c-project”は、「手法がテーマを担う」がコンセプト。私にはなんのこっちゃよくわかりませんが、新しい映画表現の開拓を目指すプロジェクトなのだそうです。そのプロジェクトを母体として設立された“株式会社5月”で活動する新進気鋭の監督集団“5月”。メンバーである関友太郎と平瀬謙太朗の両監督が、WOWOWの連続ドラマW枠で放送された『災』を劇場版として再構築。てなことを知らずに観に行きました。

平瀬監督が過去に脚本を手がけた作品は、『百花』(2022)だったり『8番出口』(2025)だったり。いずれも川村元気がらみであんまり好きじゃなかったから、これはどうかなぁと思っていましたが、何これ、めっちゃオモロイやん。

千葉、横浜、福岡、石川、宮城などなど、全国各地で起こる事件。事件といっても自死や事故として処理される案件ばかりで、遺族は悲しみに暮れるものの、ニュースで大きく取り扱われるようなものではない。しかし、これは連続殺人事件なのではないかと疑っているのが神奈川県警の刑事・堂本(中村アン)。どの遺体にも不自然にカットされた髪の跡があることに着目する彼女は、シリアルキラーが存在すると考えている。同僚の誰も彼女の説を聴こうとはせず、上司の飯田(竹原ピストル)も堂本の気のせいだと思っているけれど、彼女の熱意にほだされてちょっと調べてみることに。すると、どの案件もそばに同じ男(香川照之)の影が見え隠れしていることに気づく。

TVドラマ版は時系列順に見せていたのですかね。この劇場版ではすべて同時期に起こった「事故」のように見せているから、あちこちに現れる「男」がまるでこの世の者ではないようです。彼の現れるところに死がある、死神のようなものなのかと思っていたら、異なる時期の話が描かれているのだとわかります。死神より怖いのが人間だとひしひし感じる。

経済的に困窮する家庭に育つ女子高生(中島セナ)は、進路について母親に相談したいのに、ろくに話を聴いてもらえない。そんな彼女に優しく接する塾講師。飲酒運転で事故を起こしたのをきっかけに妻と別居中の男性(松田龍平)に明るく話しかける新入りの同僚。経営不振に陥っている老舗の温泉宿の主人(じろう)に大麻を融通する酒店の男。鬱屈した思いを抱える清掃員(内田慈)と同じショッピングモール理髪店に勤める男。こんな感じで、「ちょっとだけ不幸なのかな」と思われる人のそばにこの男が現れるわけですが、男が誰かを殺すシーンがあるわけじゃなし、ただ、男と会ったあとに本人あるいは近い誰かが無残に死んでいる感じ。

自然災害と同じように突如として巡ってくる死。もしも自分が少し不幸せだったなら、天災に遭ったかのように死ぬのもいいのかもしれないとすら思ってしまいます。香川照之が圧巻。非常に面白かったけど、生理的に受け付けない人もいそうな作品。音楽も不協和音の連続で不気味です。恐ろしいのに、この世界にしばし浸りたくなりました。

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