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『TOKYOタクシー』

『TOKYOタクシー』
監督:山田洋次
出演:倍賞千恵子,木村拓哉,蒼井優,迫田孝也,優香,中島瑠菜,神野三鈴,イ・ジュニョン,マキタスポーツ,北山雅康,木村優来,小林稔侍,笹野高史他
声の出演:明石家さんま,大竹しのぶ

公開初日、109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『インターステラー』の次に。

山田洋次監督が『パリタクシー』(2022)をリメイク。この日は舞台挨拶付きの回が設けられていましたが、へ〜っと思ったのはその時間帯。普通、舞台挨拶付きの回は封切り日の18時以降に設けられる場合が多い。封切り日はたいてい金曜日だから、仕事帰りの人が来場可能な時間に設定されているわけですね。ところが本作の舞台挨拶付きだったのは昼前の回。ま、山田監督はご高齢ですし、倍賞千恵子キムタクならば中高年以上のファンが多いということか。

個人タクシーの運転手・宇佐美浩二(木村拓哉)がくたくたになって帰宅すると、待ちかまえていた妻(優香)から娘(中島瑠菜)の進学について相談される。クラリネット奏者として将来を期待できる娘は推薦入学が叶いそうだが、私立のために金がかかる、大丈夫かというもの。入学金もろもろで100万円は要るし、車検に賃貸住宅の契約更新も間近で出費が重なってどうにもできそうにないと言うのだ。浩二の姉に用立ててほしいと妻から言われてうんざり。

妻は出勤、娘は登校してやっと睡眠に就いた浩二は、同僚からの電話で起こされる。ぎっくり腰になったという同僚は、自分が受けた仕事を浩二に代わってほしいという。それは東京の柴又から神奈川の葉山まで85歳のマダム・高野すみれ(倍賞千恵子)を送り届けるというもの。長距離だから相当の金を稼げるだろうという思惑から浩二は引き受けるのだが……。

万人受けはすると思いますが、オリジナルの『パリタクシー』も物凄く好きというわけではなかったので、これもそんな感じ。オチを知らずにこれをお読みになっている方がいらっしゃるとしたらごめんなさい。このオチがどうにも好きになれないのです。偽善臭漂うというのか(笑)。

金の工面をどうしようかと思い悩んでいた主人公は、普通に仕事をこなしただけ。その「普通に仕事をこなす」ということがそもそも難しいのかもしれないけれど、感動するほど良いことをしたわけではない。妻にいたっては金がないと日頃から文句ばかり言って、長距離運賃を受け取らずに帰ってきた夫を責め立てます。それが、老婦人に面会に行ってみたらすでに亡くなっていて金は全部主人公一家に遺してくれていました、ってね。遺言を読んだときの夫婦の表情もなんだか。妻なんてあんなに文句を垂れていたのだから、一度も会ったことのない老婦人からの遺言に万々歳のはずでしょう。そんなしおらしい顔をされてもと思うのでした。

万人受けすると書いたけど、素直にこの美談に浸れる人だけにお薦めします。

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