MENU

『ワン・バトル・アフター・アナザー』

『ワン・バトル・アフター・アナザー』(原題:One Battle After Another)
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:レオナルド・ディカプリオ,ショーン・ペン,ベニチオ・デル・トロ,レジーナ・ホール,テヤナ・テイラー,チェイス・インフィニティ,ウッド・ハリス,アラナ・ハイム,シェイナ・マクヘイル,ポール・グリムスタッド,トニー・ゴールドウィン,スターレッタ・デュポワ他
声の出演:ジェナ・マローン

ポール・トーマス・アンダーソン監督は『ブギーナイツ』(1997)で時の人となり、『マグノリア』(1999)でさらに高い評価を得ました。その後も多作とは言えないもののコンスタントに撮りつづけ、世に送り出すたびに絶賛される。『パンチドランク・ラブ』(2002)なんかは懐かしい。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)は主演のダニエル・デイ=ルイスがあまり得意ではないため、私はハマらなかったけど、彼を再び主演に起用した『ファントム・スレッド』(2017)は凄く面白かった。そんなアンダーソン監督がレオナルド・ディカプリオを主演に迎えたのが本作。109シネマズ箕面にて、上映終了は23:55の回でしたが、わりと客が入っていました。

頼りない中年男性パットは、イケイケの逞しい女性パーフィディアに引きずられるように極左革命グループ“フレンチ75”に参加し、カリフォルニアの収容所から不法滞在移民を救出することに成功。その過程でパーフィディアは収容所の指揮官を務める軍人ロックジョーに屈辱的な思いをさせる。それを恨みに思うロックジョーは、パーフィディアを偏愛するようになる。ロックジョーはパーフィディアの動きを監視し、彼女の爆弾設置現場を捉えるや脅して性的関係を持つ。

そうとは知らないパットはパーフィディアと結婚し、一人娘のシャーリーンを授かる。ところが母親になりきれないパーフィディアは革命家としての人生を優先。シャーリーンをパットひとりに押しつけて家を出て行ってしまう。その後、銀行を襲ったパーフィディアは警備員を射殺。ロックジョーに捕まると証人保護プログラムの適用を受け入れて、フレンチ75のメンバーの名前をすべて吐いて裏切り者となる。すっかりロックジョーに囚われていた彼女だが、やがてメキシコへと逃亡。

16年後、パットはボブを名乗り、娘のシャーリーンの名前もウィラに変えて普通の生活を心がけていた。しかしいつ何時刺客に見つかるかわからず、高校生となったウィラにはスマホの使用を禁じ、密やかな日々を送っている。反移民政策を唱えて警視に昇進したロックジョーは、なんとしてでもパーフィディアの夫と娘を見つけるべく部下たちを使って探し回るのだが……。

ベニチオ・デル・トロが出演しているせいで、この数日前に観た『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』とイメージがかぶります。予告編なんて、音楽も同じような感じに思えて、ポール・トーマス・アンダーソン監督がウェス・アンダーソン監督化していると思いました(笑)。本編を観たらそんなことはなく。小難しい話を予想していたら、意外にもわかりやすい。

このベニチオ・デル・トロの役が良いんです。麻薬王の役なんかも多い彼ですが、本作ではウィラの空手の先生。さらわれたウィラを早く追いかけたいのにロックジョーから追われるボブを全力で助けようとします。ショーン・ペンはよくもこんな変態役を引き受けたと思うほどの気持ち悪さ。KKKのごとき白人至上主義秘密結社の存在も不気味極まりありません。地獄に堕ちろ、ロックジョー。

パーフィディアにはまったく同情できず。自分で産んだ娘なのに夫が可愛がると嫉妬して、革命運動したいんだと出て行く。こうなると、何のための革命なんだかわからない。移民を解放して世の中に正義をと謳っていても、さっさと自分の娘を捨てての行動ですから。

実はウィラがボブの子ではなくロックジョーの娘だということは誰しも観ていてわかることだと思います。そんなことに関係なく、ウィラを助けるべく奔走するボブがカッコイイ。昔の美しいディカプリオはもういないけど(笑)、彼はやっぱり演技が上手いですね。面白かったけど、長いなぁ。162分。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次