MENU

『還暦高校生』

『還暦高校生』
監督:河崎実
出演:ひかる一平,直江喜一,石田泰誠,戸苅ニコル沙羅,森井信好,長谷摩美,笑福亭鶴光,古谷敏他

このタイトルだし、監督は河崎実だし、観ても大丈夫だろうかという不安が走りました。河崎監督といえば『いかレスラー』(2004)ですからね。しかも主演はひかる一平と来た。えっ、この人まだ役者をしてはったんですか。ひかる一平と聞いて思い出すのは、私が中学生だった頃。『3年B組金八先生』の第2シリーズの放映中で、一番人気の生徒は当然沖田浩之。ヒロくん以外で誰が好きかなんて決める必要もないのに、同級生たちから「ひかる一平にしとき」と言われた私はなぜかひかる一平ファンということにされてしまいました。全然タイプちゃうっちゅうねん。しかしまさかヒロくんがまだ30代で自殺してしまうなんて、あのころ誰が想像したことでしょう。悲しい事件でしたね。

で、まぁ、懐かしさもあって、ナナゲイで『「桐島です」』を観た後、1階下のシアターセブンに移動したのですけれども。もう苦笑いするしかない。わはは。

産休に入った教師の代替で星雲学園に着任した野々山(石田泰誠)にとって「青春」はかけがえのないもの。青春を体感してほしいと生徒にも同僚教師たちにも熱く語る。それを鬱陶しがる不良生徒と殴り合いの喧嘩になっても「青春」だけは譲れない。

彼が担任することになった3年B組には42回ダブって今年還暦を迎えるという高校生・椎名(ひかる一平)がいた。不良の巣窟となっているサッカー部をなんとかしようと顧問に就任した野々山は、その昔、椎名がサッカー部のエースだったと聞き、もう一度サッカーをしようと椎名を誘うのだが……。

茶番すぎてあらすじもどう書けばいいのか困ってしまいました。けれど、『3年B組金八先生』へのオマージュといえばオマージュで、パロっているシーンがいっぱい。そもそも役名からしてそうなんです。女子生徒の名前は三原だし、椎名のかつての同級生で今はとある設備会社の部長役を演じる直江喜一の名前は伊藤。これは彼が当時演じた加藤をもじってものでしょう。伊藤のやはり同級生で現在は同校で教師を務める森村(森井信義)が、伊藤のことを「腐ったミカン」呼ばわり。罵り合いになって伊藤は森村を連れて放送室に立てこもる。警察が来て伊藤が連行されるシーンでは、中島みゆき『世情』が流れることを期待しましたが、それは流れず。ここは絶対「シュプレヒコールの波♪」でしょ。

野々山が椎名をサッカー部に誘うも椎名は拒否。縋る野々山に出した条件は千本シュートを止めること。サッカー部員500本、不良生徒が400本蹴って、その全部を野々山は止めます。野々山より先に生徒たちがへばって、最後の100本は椎名が蹴り、それも全部止めちゃうんだから、凄いわ、野々山先生(笑)。主演はひかる一平というよりは石田泰誠です。

誰も観ないと思うからネタバレしちゃいますが、野々山が頑なにサッカー部への入部を断っていた理由に笑う。彼は人間じゃなくて宇宙人でしたという、抱腹絶倒のオチ。河崎監督らしく、ビジュアルもちゃんと宇宙人になります。ドン引きの展開がもしかしたら『野球どアホウ未亡人』(2023)のようにカルト化する可能性はあるかもしれませんね。ない!?

ところで、本作は「日本橋三越本店の福袋企画の第2弾」とあるのですが、これってどういう企画ですか。この福袋をもらって嬉しいとは思えないけれど、きっと観る人が少ないから、「観ましたよ」と自慢できるかしらん。自慢にならん?

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次