『Mr.ノボカイン』(原題:Novocaine)
監督:ダン・バーク,ロバート・オルセン
出演:ジャック・クエイド,アンバー・ミッドサンダー,レイ・ニコルソン,ジェイコブ・バタロン,ベッティ・ガブリエル,マシュー・ウォルシュ,エヴァン・ヘングスト,コンラッド・ケンプ他
イオンシネマ茨木にて、前述の『呪儀 BODY PARTS』とハシゴ。終映間際というものの割と広いシアターをあてがわれていたのに、今年5回目の“おひとりさま”でした。原題の“Novocaine”とは局所麻酔剤の名前。
30歳の独身男性ネイサン・カインはこの若さで銀行の副支店長。真面目で誠実な人柄で、遊びに行くことも皆無だから、悪い噂などひとつもなし。というのも彼は先天性の無痛症のため、知らないうちに自分が怪我をすることを恐れて仕事に行く以外は自宅に籠もっているから。
そんなネイサンの前に気になる女性が現れる。彼女は4カ月前にこの銀行に就職したシェリー。ある日、シェリーに声をかけられたさいに、驚いたネイサンの手に熱いコーヒーがかかる。火傷しても痛みを感じないネイサンは平気だと言うが、シェリーからお詫びに食事に誘われる。
ミルクシェイクしか飲もうとしないネイサンを不思議がるシェリー。ネイサンは隠しきれずに無痛症であることを明かし、固形食は無意識のうちに舌を噛み切る可能性があるから食べないのだと答える。自分がついているから大丈夫だと言ってシェリーから勧められたチェリーパイを食べてその美味しさにビックリ。
恋に落ちたネイサンだったが、クリスマスの銀行に強盗が押し入る。支店長は犯人グループに撃たれて死亡。副支店長のネイサンがやむなく金庫の暗証番号を知らせると、犯人らは金を奪ったうえにシェリーを人質に取って退散する。殴られてしばし気を失っていたネイサンは立ち上がり、警官が止めるのも聞かずに犯人たちを追いかけて……。
無痛症の人が主人公の作品といえばクォン・サンウ主演の『痛み』(2011)。『燃えよスーリヤ!!』(2018)もそうでした。どれもかなりシリアスだったから、本作のようなコメディは珍しい。というのか初めて。
痛みを感じないからって不死身なわけじゃない。大怪我をしても自分で気づかないだけなんですね。ネイサンは子どもの頃、釘を踏み抜いたのにそれに気づかず、靴が血で真っ赤になったのを見て親が慌てて病院へ連れて行き、無痛症であることがわかったらしい。以来、細心の注意を払い、鉛筆にはテニスボールで作ったカバーをかけたりなんかも。無痛症の人たちは本当にこのようにして暮らしているのだろうなぁと思いました。
行く先々で痛い目に遭わされるけれど、痛くない。拷問に遭うところなんか、めちゃくちゃ痛そうで見ているこちらの顔が歪みますが、ネイサンは痛いふりをするだけ。
ネタバレですが、シェリーを助けるために激走したのに、シェリーも実は強盗団の一味で。だけどちゃんとハッピーエンドです。オンラインゲームで繋がっていた唯一の友人ロスコーの存在も最高でした。お互いに顔を知らない間、ロスコー本人はジェイソン・モモア似だと言っていたのに、会ってみたらエーッ(笑)。この友人関係は素晴らしい。
観に行ってよかった。
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