『教皇選挙』(原題:Conclave)
監督:エドワード・ベルガー
出演:レイフ・ファインズ,スタンリー・トゥッチ,ジョン・リスゴー,セルジオ・カステリット,
ルシアン・ムサマティ,カルロス・ディエス,イザベラ・ロッセリーニ他
封切り日にMOVIXあまがさきにて。この劇場に行くのはいつぶりでしょう。
おおっ、2018年12月に4回目の『ボヘミアン・ラプソディ』を観て以来だ。
2016年にイギリス人作家ロバート・ハリスが著した“Conclave”を原作とするアメリカ/イギリス作品。
“コンクラーヴェ(=教皇選挙)”を描いた作品としては、『ローマ法王の休日』(2011)もあります。
それを観たときもローマ教皇を決めるのはこんなふうなんだと驚いたものですが、
ユーモアも交えて描かれていたためにあまり重くは感じませんでした。
その点、本作は全然違う。ピリピリとした空気が張り詰めて、重いのなんのって。しかし凄く面白い。
カトリック教会の最高指導者であるローマ教皇が急逝。
新教皇を決めるための選挙を仕切るのは、首席枢機卿のローレンス(レイフ・ファインズ)。
世界各国から100名を優に超える枢機卿が続々と駆けつける。
準備が整うと、外部から完全に遮断されたシスティーナ礼拝堂で投票が始まる。
誰かが投票総数の3分の2以上を集めるまでは新教皇は決まらない。今回は72票の得票が必要。
有力視されていた候補たちの票は割れ、水面下ではさまざまな思惑が動いている。
ローレンスはベリーニ(スタンリー・トゥッチ)が選出されることを望んでいたが、ベリーニの票は思いのほか伸びず。
何が何でも新教皇になってほしくないテデスコ(セルジオ・カステリット)が票を伸ばし、
アフリカ出身者初の教皇の座を狙うアデイエミ(ルシアン・ムサマティ)も後を追う。
亡くなった教皇と最後に接見したトランブレ(ジョン・リスゴー)も多く得票するが、どうも信用できない。
アフガニスタンのカブールからやってきた新枢機卿のベニテス(カルロス・ディエス)はローレンスに投票しつづけているようで、
これ以上の票割れを防ぎたいローレンスは、ベニテスに自分への投票をやめてくれるように頼むのだが……。
「汚点のない人間なんていない」という台詞があります。
だけど教皇にはやっぱり曇りのない人に就いてほしいですよねぇ。
聖職者による性的虐待が取り沙汰されたこともあるから、問題のある人のことは事前に知っておきたい。
新教皇になればメディアはこぞってその過去を調べるし、暴かれて困るようなことのない人でないと。
ゲイや女性を蔑んでいる枢機卿もいる。世間の受けだけが良い枢機卿もいる。
教皇になりたいなんて思っていないと言いつつ、みんな教皇になったときの名前を考えていたりする。
ローレンスがどのように選挙を仕切って行くのか、なりゆきを見つめるのが本当に面白い。
ローレンス役のレイフ・ファインズが素晴らしいのは言うまでもないことですが、
存在感を発揮してさすがと思わせるのはシスター・アグネス役のイザベラ・ロッセリーニ。
選挙にシスターの口出しは無用というのか厳禁とわかりつつ、彼女が言葉を発するシーンは凛々しかった。
コンクラーヴェを覗いてみたくなりませんか。
—–