『ジェリーの災難』(原題:Starring Jerry as Himself)
監督:ロー・チェン
出演:ジェリー・シュー,ジェシー・シュー,ジョナサン・シュー,ジョシュア・シュー,キャシー・シュー,
ハオソン・ヤン,ジャン・ツァイ,ファン・ドゥ,ニック・ベイリー,ヨニ・ロタン他
そこで帰りゃいいものを、TOHOシネマズなんばに寄ってもう1本。
22:00~23:30の回で、レイトショーもレイトショー。これ観て家まで帰れるんかいなというほどの時間帯。
はい、ちゃんと帰れましたけど。
なんとも風変わりな作品を撮ったものです。
完全なる実話で、詐欺被害に遭った張本人とその家族を俳優として起用しています。
ドキュメンタリーかと思って観はじめたら、どうやらそうではない。
けれど俳優にしては素人くさく、演技にしてはリアルすぎると思ったら、騙された本人が演じていたというわけで。
妻のキャシーとは離婚し、息子3人も成人してそれぞれに暮らしているから、ジェリーはひとり暮らし。
それでもキャシーとは定期的に会って頻繁に連絡を取り合う中で、息子たちもよく様子を尋ねてくれる。
ところがある日、ジェリーの電話をあと2時間で止めるとの通達を受ける。
何が何やらわからないが、電話を止められては困るなら中国警察に通報するように言われてすぐに電話。
話を聞けば、ジェリーは資金洗浄(マネーロンダリング)の国際的な捜査で容疑者になっているとのこと。
ジェリーがフロリダに持つ銀行口座を介して128万ドルが違法に移動されていると。
まったく身に覚えがなくて焦るジェリーに、警察官を名乗るジャンは丁寧に優しく応対。
金の流れを突き止めるため、口座を解約して警察に送金するようにジェリーに指示。
疑わしい銀行に出向き、ジャンに言われたとおりに次々と解約して送金。
株で儲けた金はもちろんのこと、生命保険を解約、年金も満額を払い出して送る。
すべての口座が空っぽになった途端、ジャンとは連絡がつかなくなり、詐欺に遭ったと知る。
その額98万8000ドル、日本円にしておよそ1億5千万円。
こんな手に引っかかるなんておかしいやろと思うけれど、騙されるときは騙されるんですねぇ。
コツコツ貯めたお金を息子たちのために残そうとしていたのに、まるごと持って行かれて。
けれど救いは家族みんながジェリーに温かかったこと。
ジェリーと正反対に金遣いが荒く派手好きのキャシーは最初こそ「アホか」という態度ですが、
国民性なのでしょうか、彼女も息子たちも「しゃあないわな」という感じ。
たぶん生きる気力を失っただろうと思うのに、映画化の話が降ってきて、ジェリーはロー・チェンと共に脚本を執筆。
そのおかげで元気を取り戻したとキャシーも嬉しそう。
自分のような詐欺被害者が出ないようにしたくて本作を作ったと言うジェリー。
人の良いお年寄りを騙すような悪人には罰が当たるように祈ります。
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