『Flow』(原題:Flow)
監督:ギンツ・ジルバロディス
NGKへはひとりで行くことのほうが多いのですが、この日は午後休を取って友人と。
認知症の兆候が出はじめたお母さんを仕事しつつ介護している友人は、
私が弟の癌発覚当時に「笑いたい!」と思ったのと同じ心境らしく、
だったら漫才と新喜劇で笑おうよということで、これが2回目の同行です。
終了後、黒門市場近くに駐めていた車に乗って阪神高速で池田まで。
友人を送り届けたその足でTOHOシネマズ伊丹へ向かいました。
ラトビア/フランス/ベルギーのアニメーション作品。
監督はラトビア出身のギンツ・ジルバロディス。
同監督が世界的に注目された第1作の『Away』(2019)を私は未見だったものですから、
どんな作品を撮る監督なのかを知らずに観たら、最初から息を呑みました。
森の中で暮らす1匹の黒猫。
時には犬の群れに追いかけられて逃げ惑うことがあるも、自由気ままな毎日。
そんな森をある日大洪水が襲う。森どころか世界が丸ごと水の底に沈んでゆく。
流れてゆく木やがらくたに捕まってなんとか溺れ死せずにいた黒猫は、漂流する1艘の船に遭遇。
居合わせた動物たちと当て所のない旅をすることになる。
凄いです。2Dなのに3Dを観ているかのような臨場感。
台詞はひとつもなく、それぞれの動物の鳴き声のみ。
喜び、悲しみ、不安、驚き、何もかもがその声にあらわれています。
普段は半目し合っているはずの動物たちが時に力を合わせる。
それも決して「俺たち一緒に頑張ろうぜ」的なノリではなくて、自然とそうなる感じで。
たまらないアニメを見せてもらいました。
猫好きの人にも動物好きの人にも超オススメ。
大自然を描いた作品では寝てしまうという人にもお薦めします。
世界が再生される瞬間。
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