『夜のまにまに』
監督:磯部鉄平
出演:加部亜門,山本奈衣瑠,黒住尚生,永瀬未留,辻凪子,岬ミレホ,日永貴子,
木原勝利,川本三吉,辰寿広美,時光陸,大宅聖菜,緒方ちか他
第七藝術劇場の協力を得て制作された作品なのだそうです。
2023年12月にそのナナゲイで先行上映されたときには知らず、その後の正式公開も知らず。
このたび再上映されるということで仕事帰りに十三まで車を走らせました。
フリーターの新平(加部亜門)が映画館を訪れると、客は誰もいない。
自分だけならどこに座ってもよかろうと、押さえていた席とは別の席に腰かけたとき、由紀恵(岬ミレホ)というご婦人が入場。
「そこ、私の席なんですけど」と言われて、新平は慌てて席を立つ。
ところが由紀恵は「よかったら一緒に観ませんか」と声をかけてくる。そうしましょうということに。
そこへまた入場してきたのが女子大生の佳純(山本奈衣瑠)。
意気投合した3人は一緒に映画を鑑賞して食事も。
それ以降、新平と由紀恵はたまに同映画館で遭遇するも、佳純が現れることはなかった。
するとある日、新平のバイト先に新人として佳純がやってくる。
佳純は新平のことを覚えていない様子で、いともあっさりとしたもの。
しかしそんな佳純があるマンションのゴミ捨て場でゴミを漁っているところに遭遇。
訳を尋ねると、佳純の恋人がこのマンションの住人で、浮気の証拠を見つけたいと。
なんとなく巻き込まれて佳純と共にストーカーまがいの行動を起こすことになった新平は……。
映画館はナナゲイ、新平と佳純のバイト先はカンテグランデ中津本店。
知っている人ならもうこれだけで心が躍るというものでしょう。
だけど、ひとりで入った映画館で、見知らぬ人から「一緒に観ませんか」と声をかけられたらドン引きします(笑)。
という、個人的にはあり得ないやりとりから始まった作品ですが、面白かった。
新平の元カノは幼なじみのサキ(永瀬未留)で、サキのほうから新平を振って同棲を解消したのに、
合鍵を持ったままのサキはしょっちゅう新平の部屋にやってきます。
振った男にはいつまでも自分を好きであってほしいというやつかと思ったけれど、
佳純とサキが新平の部屋で鉢合わせしてからが可笑しくて。
新平の姉(辻凪子)がサイコー。いいよなぁ、こんな姉ちゃんと思わずにはいられません。
実は幼い頃からイマジナリーフレンドのいる新平。
それを心配しつつも否定せずにいるまわりの人たちがとてもいい。
ちょっといい話でした。
あ、現実のナナゲイでは飲み物は持ち込んでもいいけれど、食べ物は駄目ですよ。
そこでたこ焼きなんか食べちゃあ駄目だ。
そういえば昔、食べ物の持ち込み禁止ではなかった頃にナナゲイには“ほか弁”を持ち込んでいる人もいたなぁ。
あれにはまいった(笑)。
—–