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『シングル・イン・ソウル』

『シングル・イン・ソウル』(英題:Single in Seoul)
監督:パク・ボムス
出演:イ・ドンウク,イム・スジョン,イ・ソム,チャン・ヒョンソン,
   キム・ジヨン,イ・サンイ,イ・ミド,チ・イース,ユン・ゲサン他
 
五十日(ごとび)っていつの時代になっても道が混むんですよね。
そんな日にミナミまで車で行かんでもええやんと思いつつ、
本作のことが気になってなんばパークスシネマへ。18:45上映開始なら五十日の新御でも間に合う。
 
「街の本出版社」という小さな出版社編集長を務めるヒョンジン(イム・スジョン)は、
仕事の面では辣腕を振るう有能な編集者だが、恋愛に関してはからっきし駄目。
男性との距離がわからず、いつも勘違いしてはひとりよがりな恋に撃沈してばかり。
 
ソウルバルセロナそれぞれでシングルライフを送る作家のエッセイ本企画が出る。
バルセロナ版を執筆することになったのは、あちら在住の韓国人で売れっ子の女性作家ホン(イ・ソム)。
一方、ソウル版を頼むはずだった作家は妊娠が判明し、企画のテーマにそぐわないと降板。
社長のジンピョはこの機会に新人作家を発掘しようとSNSに当たった結果、
塾講師で独身イケメン男性のヨンホ(イ・ドンウク)を発見。写真も文章もセンスの良さを感じさせる。
 
会ってみればヨンホはヒョンジンと同じ大学の先輩。
ヨンホの本をヒョンジンが担当することになるが、「独身もいい」というスタンスで書いてほしいのに、
「独身がいい」としか言いたくないというヨンホ。
編集担当者を変えてほしいとジンピョに直訴するも、有能な編集者だからと言いくるめられる。
 
こうしてああだこうだと言いながらも執筆を続けて……。
 
全然売れそうにない話を書くヨンホに、ヒョンジンは初恋の話を書くように勧めます。
この段階で、バルセロナ版を書く女性作家がヨンホのその相手だろうという推測が観客にはつくでしょう。
世の中がそこまで狭いわけはなく、これは社長の策略だということも。
「なんとバルセロナ版とソウル版の作家が初恋の相手同士だった」と宣伝して売りたいわけです。
しかしヨンホがそれに気づく由もなく、ヒョンジンも社長から聞かされていないから知らない。
どちらの原稿もできあがったときにようやく真相を知ることになって怒ります。
 
最初は合いそうにもなかったふたりがお互いを意識しはじめて恋に落ちる話は珍しくもありませんが、
本好きとしては、出版に絡む話がいろいろ聞けて楽しかった。
なぜ編集者になったのかと問われたヒョンジンが、「大学を出てなんとなく就職したけれど、
あるとき自分が編集した本を読んでいる人を見かけてたまらぬ嬉しさを感じた」と話すシーンがあります。
ヨンホのエッセイ本はさほど評判よくなく売れなかったものの、
彼の本を携えた人がサインを求めてきて、大好きであることを伝えてくれたとき、
ヨンホにもあのときのヒョンジンの気持ちがわかったようで、その表情がとてもいい。
 
後味の良い作品です。こうしてまた本が好きになる

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