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『おまえの親になったるで』

『おまえの親になったるで』
監督:北岸良枝
 
前述の『月』を観たあと、5階のシアターセブンから6階の第七藝術劇場へ移動して。
平日だというのに満席。立ち見も出ようかという勢いです。
この週で一応上映が終了したのですが、これはまた再上映するでしょうね。
 
ご存じでしたか、“日本財団職親プロジェクト”。
2013年に「お好み焼 千房」の代表取締役・中井政嗣氏が発起人となり、
関西の中小企業7社が集まって発足したプロジェクト。
元受刑者に住まいや仕事を提供して再犯を防ごうというものです。
 
このプロジェクトの参加者のひとりが、大阪の建設会社の社長・草刈健太郎氏。
彼は妹を殺されたという悲しい過去の持ち主です。
 
犯罪の被害者遺族が、当の事件の加害者でないとはいえ、
はたしてほかのさまざまな犯罪者の更生に手を貸せるものでしょうか。
 
確かに、出所してきた彼らにの中は、凄絶な家庭環境に育った者もいます。
母親が父親を殺して、遺された子どもとか。
ヤク中の母親からネグレクトを受けてきた子どもとか。
 
それでもまともに育ってまともに暮らしている人もいる。
劣悪な環境に育ったから人を傷つけていいわけじゃない。
 
草刈さんは言います。加害者がひとり減れば、被害者もひとり減る。
自分の妹を殺めた犯人を許すことはできないけれど、加害者を減らすためにも再犯を防ぎたい。
 
手を差し伸べてもいっぱい裏切られます。
もともと辛抱強くできていない元受刑者たちは、草刈さんに感謝しつつも、
ギャンブルに手を出したり、ドラッグをやめられなかったり。
同寮者の金を盗んでまで元の生活に走ったりします。
 
それでも彼らを見捨てない草刈さん。
この10年で職親プロジェクトの参加企業は増え、少年院刑務所と連携を図り、
今はまっとうに働く元受刑者が職業技術訓練に訪れるなどしているそうです。
 
会ってみないと、それぞれがどういう人なのかわからない。
だから手放しで良しとは言えないけれど、応援したいプロジェクトではあります。

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