《は》
『ハリウッドを斬る! 映画あるある大集合』(原題:Attack of the Hollywood Cliches!)
2021年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
ロブ・ロウがナビゲーターを務めるドキュメンタリー。
登場する映画はアメリカ映画に限らず、フランス映画もあれば、
インドネシア映画の『ザ・レイド』(2011)も登場して、「映画あるある」てんこ盛り。
逃げる女性はなぜいつもハイヒールなのか。ハイヒールで走れるわけがないのに。
恋愛映画の出会いはいつも不自然。こんな出会いは絶対ない。
“ダイ・ハード”など、アクション映画のシリーズものは、
第1作はリアルにありそうな設定だったのに、シリーズが進むと超人化。
怒りは机の上のものを払い落として表す、などなど。
黒人差別を描く作品は、白人の贖罪を示すために存在していることにほかならず、
同性愛を描く作品に登場する同性愛者の約4割は亡くなって終わる。
“ウィルヘルムの叫び”(=音響素材としての叫び声)のことは初めて知りました。
めちゃめちゃ面白かったから、今後も繰り返し観てしまいそう。
《ひ》
『100日間のシンプルライフ』(原題:100 Dinge)
2018年のドイツ作品。
世界的に話題となったフィンランドのドキュメンタリー映画『365日のシンプルライフ』(2013)をベースにしたコメディ。
アプリ開発の会社を共同で経営する幼なじみで親友同士のパウルとトニー。
パウルが開発した人工知能搭載アプリ“ナナ”をトニーの営業力でアピールし、
400万ユーロ(約5億円)で売ることに成功する。
社員らと共に祝杯を挙げた日、ナナを金儲けの道具としか見ていないトニーに腹を立て、
パウルはある勝負をトニーに持ちかける。
それは、自分たちの持ち物をすべて倉庫に預け、丸裸からスタートし、
1日に1つだけ倉庫から取り戻しながら100日間生活するというもので……。
トニーはナナの価格をつり上げることにも成功し、結局買い取ることになった人物の名はザッカーバーグ。
Facebookの創業者と同じ、しかもこいつが悪い奴という設定で(笑)。
見た目ばかりを気にするトニーのことが好きになれなかったのですが、
実はトニーこそコンプレックスの塊でした。
それがわかる終盤がとてもよくて、ラストシーンもじんわりと心に沁みます。
《ふ》
『ファナティック ハリウッドの狂愛者』(原題:The Fanatic)
2019年のアメリカ作品。
映画オタクのムースは、人気俳優ハンター・ダンバー(♂)の大ファン。
サイン会の日、意気揚々と出かけたのに、ムースのひとり前で終了してしまう。
そのさいのハンターのアンマリな言い様に納得が行かず、
有名人の自宅を調べるアプリを知ったムースは、
さっそくハンターの自宅を見つけ、サインを貰うべく押しかけるのだが……。
ムースには軽度の知的障害があるようなのですが、それについての説明はなく。
ただそのせいで不良からいじめられたり、
彼をかばう友人や警備員から声をかけられたりするシーンがあるだけ。
大好きなスターと会うことを楽しみにしていたのに、彼のスターはあまりにも冷たい。
結局、ハンターを監禁したムースは返り討ちに遭い、脚切られて目玉抉られます。
本作でムース役のジョン・トラヴォルタはラジー賞を受賞したとのこと。
それはちょっと気の毒なように思います。だって、彼の演技が悪かったわけじゃない。
作品として不愉快だっただけ。
《へ》
『隔たる世界の2人』(原題:Two Distant Strangers)
2020年のアメリカ作品。日本では未公開ですが、Netflixにて配信中。
第93回アカデミー賞にて短編映画賞を受賞しました。
黒人青年カーターは、一夜を共にしたチャーミングな女性ペリーとの出会いを喜びつつ、
家で留守番をさせている愛犬ジーターのことが気になって、ひとまず帰ることに。
ペリーの部屋を出てリモートでジーターの様子を確認し、路上で喫煙していたところ、
その匂いがおかしいと通りすがりの警官から難癖をつけられたうえに絞め殺される。
苦しさに目覚めると、そこはさっきまでいたはずのペリーの部屋。
以降、ペリーと別れて外に出て、同じ警官に殺されて目覚めることが繰り返され……。
決定的に違うのは、タイムループの面白おかしい話ではないということ。
黒人が白人警官に不条理に殺される、それをタイムループとして描いています。
エンドロールでは警官に殺された黒人の被害者の名前が映し出されます。
「どれだけ時間がかかっても、何度繰り返しても、俺は絶対に犬が待つ家に帰るんだ」。
《ほ》
『星の王子ニューヨークへ行く2』(原題:Coming 2 America)
2021年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
『星の王子ニューヨークへ行く』(1988)の続編が30年以上経って製作されるとは。
ザムンダ王国の王子アキームがニューヨークでリサと恋に落ち、結婚してから30年。
アキームが国王に就任する段になり、彼の息子ラヴェルがアメリカにいることが判明。
自身に息子がいることなど知らなかったアキームは、ラヴェルを皇太子として迎えるべく、
国王の側近セミと共にニューヨークへと向かうのだが……。
前編に愛着のある人なら楽しめたでしょうが、そうじゃない私はさっぱり楽しめず。
「ニューヨークに行く」というけれど、ニューヨークほとんど映ってへんし。
ほぼすべてと言っていいほどザムンダ王国の中の話です。
久しぶりに見たエディ・マーフィーが全然変わっていないことにただただビックリ。
今年還暦なんですね、彼。10人も子どもがいるそうで、それにもビックリ。
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