読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2946ページ
ナイス数:1238ナイス
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■そして、バトンは渡された (文春文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】私には原作よりもずいぶん意地悪に思えます。わざわざ優子の幼い頃のあだ名を「みぃたん」にして、優子と別人のように思わせる。梨花さんは梨花さんのはずがママと呼ぶ。優子に友だちはひとりもおらず、彼女の境遇を先生から知らされたいじめっ子が急に優しくなってやっと友だちに。優子の物語というよりも、子どもを産めない梨花さんが優子を手に入れて、手放したくないがためになりふりかまわず頼れる男性を探した話みたいになってしまっている気が。ところどころ泣きはしたけれど、違和感でいっぱい。
読了日:11月02日 著者:瀬尾 まいこ
https://bookmeter.com/books/16239752
■いとしいたべもの (文春文庫)
食べ物の話は何故にこんなに心が躍るのか。カステラに溺れた話を読んで、私も幼少期に生クリームに溺れたことや、皮付きのジャガイモを吐くほど食べてしまったことを思い出します。お中元に届いてもちっとも嬉しくなかった素麺は、大人になって自分で買おうとしたらその値段の高さに驚いて、今さらありがたみがわかったり。茄子とおこわは子どもには不人気なのでしょうか。私は昔から大好きでしたけれども。くさやと並べられるアントニオ・バンデラスはいささか気の毒です(笑)。でも、くさや好きの人ならば、バンデラスと一緒にしないでと思う!?
読了日:11月04日 著者:
https://bookmeter.com/books/8035387
■殺し屋、やってます。 (文春文庫)
「死んでいい人間なんていないんだ」と佐藤健くんは言っていましたが、こんなふうにいとも簡単に殺し屋の手にかかる人もいる。映画『AVA/エヴァ』ではジェシカ・チャステイン演じる殺し屋が、ターゲット殺害前に「あなたはいったい何をしたの?」と尋ねていました。殺し屋にこれはご法度だそうで、本書では殺害後にターゲットが消された理由を殺し屋が考える。ここに登場するターゲットは、それこそ死ななきゃいけないほどの悪人とは思えず、軽さがなんとも不気味。自分がもし殺されるとしたら、その理由は知っておきたいなぁ。続編も読むけど。
読了日:11月06日 著者:石持 浅海
https://bookmeter.com/books/14854626
■プエルトリコ行き477便 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
その場から脱出したい女性がふたり。片方は夫からの凄まじい虐待に遭い、もう片方は犯罪絡みのやばい状況。空港でばったり会って航空券を交換したら現状から抜け出せるのか。どうか無事に逃げられますようにとひたすら願う。臨場感が凄い。歳を取るにつれて片仮名の名前が頭に入りにくくなっているため(笑)、海外ミステリーは年に数冊しか読まなくなっていましたが、こんな作品を読むと俄然もっと読みたくなる。冒頭に「勇気を持って自らのために声をあげたすべての女性に捧げます」とあります。見てくれている人、助けてくれる人は、きっといる。
読了日:11月09日 著者:ジュリー・クラーク
https://bookmeter.com/books/18211549
■盤上のアルファ (講談社文庫)
社会部の県警担当から文化部の将棋担当へと異動を命じられた男。無職で住所不定のプロ棋士を目指す男。この2人が嫌われ者である理由は「彼は性格が悪かった」。2回この文が出てきて笑いました。将棋のことはほぼわからないのに、胸が熱くなるシーンがあります。例えるなら、『シコふんじゃった。』で竹中直人が勝利するのを観たときと同じような感覚。映画館で拍手が起きたことを覚えています。本作でも思わず拍手したくなりました。将棋担当になったことは左遷以外の何物でもなかったわけですが、でも確かに、事件事故だけでは紙面は埋まらない。
読了日:11月15日 著者:塩田 武士
https://bookmeter.com/books/7919917
■噛みあわない会話と、ある過去について (講談社文庫)
決して好きじゃない、でも読んでしまう。辻村深月は私にとってそんな作家です。その理由がこの1冊を読めばわかる。他人のこういう部分が苦手だと感じる面のみならず、自分の嫌な面もまざまざと見せつけられているかのよう。そういえば、小学2年生のときの担任だった先生のことが大嫌いでした。でも、良い先生だと人気があったから誰にも言えなかった。卒業時、「あの先生のこと苦手だった」と呟いた同級生に驚いて、私だけじゃなかったと嬉しくなった半面、そう思ったことに自己嫌悪。そんなことも思い出しながら、「言ってやってスッキリ」です。
読了日:11月17日 著者:辻村 深月
https://bookmeter.com/books/18623226
■ラストで君は「まさか! 」と言う 傑作選 トパーズの誘惑 (PHP文芸文庫)
この手の題名の本にマジで驚かせてもらえることはまずありません。そうとわかっているのに購入する理由はただひとつ、「すぐに読めるから」です。そしてその点では期待を裏切らない。ファンタジーなオチも、読めすぎるオチも多くて、ちっとも「まさか」とは呟けないけど、よかったのは、嫌な話ばかりではないところ。叩き落そうとするオチだらけだろうと思いきや、意外とニッコリできる話もあります。5人の作家による36編、お初の作家ばかりの各編10頁もない短編だから、気に入った話があれば単独の著書に当たってみるのもいいかなと思います。
読了日:11月18日 著者:
https://bookmeter.com/books/18533992
■テムズ川の娘 (小学館文庫 セ 2-1)
持ち歩くのが大変な700頁で、開く手も痛いぐらい。読了に丸1週間かかりましたが、余韻も大きい。心臓が止まっていたはずなのに生き返った少女。彼女のことを行方不明だった家族だと言い募る3組。ある者は自分の娘、ある者は自分の孫、ある者は自分の妹だと。彼女が運び込まれた酒場では物語を紡ぐ人が重宝がられ、その様子がとても面白い。上手い話は時に美味い物よりも良い酒の肴になるものなのですね。各人の話に心を奪われて最後まで。特に王子と奴隷の間に生まれたと噂される彼の話は、それだけでじゅうぶんひとつの話として語れそうです。
読了日:11月28日 著者:ダイアン ・セッターフィールド
https://bookmeter.com/books/18375949
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