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『浅田家!』

『浅田家!』
監督:中野量太
出演:二宮和也,妻夫木聡,平田満,風吹ジュン,黒木華,菅田将暉,
   渡辺真起子,北村有起哉,野波麻帆,池谷のぶえ,後藤由依良他
 
TOHOシネマズ伊丹にて。
 
監督は『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)、『長いお別れ』(2019)の中野量太。
写真界の芥川賞といわれる木村伊兵衛写真賞を受賞した写真家、
浅田政志氏の実体験を原案に、中野監督本人が書いた原作を映画化。
原作を読んだときのレビューはこちら
 
三重県津市に暮らす浅田家は両親と長男次男の4人家族。
一家の稼ぎ頭は看護師である母親・順子(風吹ジュン)、父親・章(平田満)が家事を担当。
常識的な長男・幸宏(妻夫木聡)に対してハチャメチャな次男・政志(二宮和也)。
 
写真を撮るのが好きな章から小学生のときにカメラを贈られた政志は、
写真家になる夢を胸に大阪の専門学校へ。
しかしろくに学校に通わず、卒業が危うくなる。
「一生であと1枚しか写真を撮れないとしたら何を撮るか」という課題を出され、
まともな写真を提出できなければ卒業不可だと言い渡される。
 
あと1枚だけ撮るとしたら。それはほかならぬ家族写真。
実家に戻った政志は、家族を収めた写真で見事卒業を決めて……。
 
順風満帆な人生ならば映画になるはずもなく、紆余曲折。
学校を卒業してからは職に就かず、パチンコか釣りか。
それでもパチンコで稼ぎまくって家に15万円も入れていたのですからたいしたものですが(笑)。
 
黒木華演じる幼なじみの若奈から叱咤され、それでもしばらくボーッ。
息子を心配して気遣う章と話すうち、
自分が撮りつづけるべきものは家族だとあらためて考えます。
 
彼の撮る家族写真の楽しいこと。
自然体の人物を撮ることがいいとなんとなく思っていましたが、
こうして状況設定をして作り込んだ写真がこんなに楽しいものだとは。
 
前半はクスッと笑ってしまうシーンの連続ですが、後半は一転。
東日本大震災に見舞われた被災地で、写真の整理をするボランティア青年に出会います。
その青年役が菅田将暉
今はもう主演で見るばかりの菅田くんが、こうして脇役に回っているのも新鮮。
彼を手伝う隣町のスナックのママさん、渡辺真起子もすごくいい。
 
涙を誘われるだろうとは予想していたけれど、
まさかいちばん泣かされたのが北村有起哉だとは(笑)。
写真整理の場に現れてイチャモンをつけるのが彼。
再登場のシーンはもうどうしようもないぐらい泣けてきます。
 
被災地で拾い上げられた写真の数8万枚。
そのうち6万枚が無事に返却されたそうです。凄い。
そして10年が経とうとしている今も、返却会は開かれているそうです。

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