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『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』

『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』(原題:Hors Normes)
監督:エリック・トレダノ,オリヴィエ・ナカシュ
出演:ヴァンサン・カッセル,レダ・カテブ,エレーヌ・ヴァンサン,ブライアン・ミヤルンダマ,
   バンジャマン・ルシュール,マルコ・ロカテッリ,アルバン・イヴァノフ他

              
梅田で3本ハシゴの3本目。
2本目の『喜劇 愛妻物語』と同じく大阪ステーションシティシネマにて。
 
実話に基づくフランス作品です。原題の“Hors Normes”は「規格外」の意。
この副題はまったく好きじゃないけれど、
これぐらいの副題を付けておかなければ人の興味は引けないとも思います。
偽善臭を感じなくもない副題ですが、内容は偽善に走ったものではありません。
 
自閉症の子どもたちをケアする2つの団体。
彼らに住居を提供し、就職可能であれば仕事先も探すのが“La Voix des Justes(=正義の声)”。
その“正義の声”へ支援員の若者たちを派遣するのが“L’Escale(=寄港)”。
“正義の声”をブリュノが、“寄港”をマリクが運営している。
 
“正義の声”の入居希望者は増える一方だが、15年間無認可のままで赤字経営。
ただでさえ大変だというのに、厚生局の監査が入ることに。
「何とかする」というのが口癖のブリュノも危機に直面するのだが……。
 
24時間ケータイを手放すことなく、自閉症児のケアを続けるブリュノ。
どんな重度の症状を持つ子どもであれ、ブリュノは決して断りません。
一方のマリクは、いわゆる不良を社会復帰させるために“寄港”を運営し、
そこらでたむろしていた若者たちを支援者に育て上げています。
サボリなんて当たり前、言葉遣いも知らない若者を叱咤激励。
気にかけられているのがわかるから、彼らもそれに報いようとします。
 
自閉症の症状の重さはさまざまで、自傷行為を止められない少年ヴァランタンや、
電車の非常ベルを見ると押したい衝動に駆られてしまう青年ジョゼフなどなど。
ジョゼフが非常ベルを鳴らすたびに呼び出されて迎えに行くブリュノが、
駅員や警官に詫びた後に「ちなみにどこで押しましたか」と尋ねるのが可笑しい。
ジョゼフがどこまで我慢できたかをさりげなく確認しているんですねぇ。
 
この施設が閉鎖されたらどうなるのか。
重度の子どもほど薬漬けにされ、部屋の中に閉じ込められるという現実。
支援員の資格の有無をお役人は問うけれど、
資格がありさえすれば子どもを殴ってもよいのか。そんなの変。
 
絶世の豊満美女(笑)、モニカ・ベルッチの元旦那ヴァンサン・カッセルがブリュノ役。
昔は色男役ばかりだったのに、こんな役が似合うとは不思議。
マリク役のレダ・カテブと共に、実に良い。
 
見ないふりをしないで、せめて一緒に考えられたら。
ぜひご覧いただきたい作品です。

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