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『ぶあいそうな手紙』

『ぶあいそうな手紙』(原題:Aos olhos de Ernesto)
監督:アナ・ルイーザ・アゼヴェード
出演:ホルヘ・ボラーニ,ガブリエラ・ポエステル,ホルヘ・デリア,ジュリオ・アンドラーヂ他
 
シネ・リーブル梅田にて。
前述の『ハニーボーイ』といい本作といい、派手な展開は全然ないのに、
どうして眠くならないのか。
よさげなのに眠くなる作品とこれらと、どういう違いがあるんでしょうねぇ。
 
ブラジル作品。
原題の“Aos olhos de Ernesto”を直訳すると「エルネストの目には」。
邦題は内容にぴったりだとは思いませんが、観たい気持ちにはなります。
 
ブラジル南部の町ポルトアレグレ。
78歳のエルネストはウルグアイからこの地にやって来て46年。
妻に先立たれて今は一人暮らし。
視力が次第に衰えて、近頃は何もかもがぼやけて見える。
そんなエルネストを心配して、息子のラミロが一緒に暮らそうと言うが、
エルネストは金もないくせに断固拒否。ラミロは困り果てている。
 
ある日、エルネストのもとへ1通の手紙が届く。
それはウルグアイ時代の女友だち、ルシアからだった。
自分で読もうにも文字が見えないから、家政婦に読んでもらおうとするが、
彼女はポルトガル語しかできず、スペイン語の手紙は読めないという。
隣に住むハビエルに頼むと、女性からの手紙ということで茶々を入れすぎる。
腹が立って途中で取り上げ、手紙の続きは未読のまま。
 
そこで出会ったのが23歳の見るからに奔放な女性ビア。
手紙を読んでもらったところ、返事を書こうとビアが言い出し……。
 
ちぃともいい子じゃないんです、このビアが。
エルネストの目がほとんど見えていないことをそれとなく確かめると、
置いてあった鍵を盗んで勝手に合鍵をつくる。
それを用いて忍び込むと、部屋の中にあった金をくすねてしまう。
なのに観ていてイライラしないのは、エルネストがすべて承知のことだから。
手癖が悪いことを知っていながら部屋の中に入れるのです。
 
いくら彼女には彼女の事情があるといっても、
そんな女だから、金だけ盗んでいなくなる。
打ちひしがれるエルネストの姿にたまらなく悲しい気持ちになっていると、
手紙の返事が読みたいからと彼女が舞い戻ってきて、
すべてエルネストに打ち明けるシーンが◯。
 
最近観たなかでは『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』のラストが
100点だったと書きました。
本作のラストも素敵です。老いたってロマンチック、ええやんか。

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