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『ペイン・アンド・グローリー』

『ペイン・アンド・グローリー』(原題:Dolor y Gloria)
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:アントニオ・バンデラス,アシエル・エチェアンディア,レオナルド・スバラーリャ,
   ノラ・ナバス,フリエタ・セラーノ,ペネロペ・クルス,セシリア・ロス他
 
梅田で4本ハシゴの1本目。大阪ステーションシティシネマにて。
ステーションシティシネマは、緊急事態宣言解除のあと、
座席を3つ空けて販売していましたが、1つ置きに変わっていました。
 
スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督の自伝的要素が強い作品なのだそうです。
やっぱり好きだなぁ、この監督。
シネコンでしか映画を観ないという人には薦められませんが
(これが上映されているのはシネコンだけれども(笑))、
ミニシアター好きな人には推したい。
って、ミニシアター好きな人は推されなくても観るか、これは。
 
世界的に著名な映画監督サルバドールは、心身共に調子が悪く、
今はほぼひきこもって引退同然の毎日を送っている。
そんなとき、彼の昔の作品『風味』が後世に残すべき作品と認められ、
このたび修復されてプレミア上映されることになったと連絡が入る。
ついては、サルバドールおよび主演俳優だったアルベルトを招待したいと。
 
30年以上前の『風味』の撮影時、サルバドールはアルベルトに怒っていた。
アルベルトはヘロインを常用し、撮影時にも吸引してきたうえに、
サルバドールの脚本を無視して演技したから。
しかし今になって改めて見てみれば、その演技が悪くないと思えるようになった。
 
大喧嘩したのを最後に絶縁していたが、サルバドールはアルベルトを訪問。
プレミア上映のことを告げ、一緒に出席する約束をする。
お互い過去を水に流し、再び酒も酌み交わすようになる。
 
ある日、アルベルトはサルバドールの短編を発見。
演技する機会に飢えていたアルベルトは、
この素晴らしい短編をどうか舞台で演じさせてほしいと懇願するのだが……。
 
アルモドバル監督がカミングアウトしたことがあるのかどうか知りませんが、
ゲイであるのは誰もが知ること。
そんな監督の少年時代のことも描かれていて、目が離せません。
特別出演している母親役のペネロペ・クルスの美しいこと。
彼女同様にアルモドバル監督作の常連アントニオ・バンデラスがサルバドール役。
彼とその恋人だったフェデリコの再会シーンは涙ぽろり。
安直にベッドになだれ込んだりしないところもいいじゃないですか。
『色男ホ・セク』のラストシーンに似た感慨。
好きで好きでたまらなかった人との再会には、男も女もない。
 
昔は腹立たしかった俳優の演技も今見れば悪くはないという監督に、
「作品自体は変わっていないのだから、あなたの見る目が変わったのよ」という、
女優の台詞を聞いて、そうなのだろうなぁと思いました。
ということは、昔は良さがちっともわからなかった映画も
そのうちもう一度観てみるのがよさそうですね。
 
現在68歳のアルモドバル監督。
まだまだ長生きしてこんな良作を撮りつづけてくださいね。

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