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『2人のローマ教皇』

『2人のローマ教皇』(原題:The Two Popes)
監督:フェルナンド・メイレレス
出演:アンソニー・ホプキンス,ジョナサン・プライス,フアン・ミヌヒン他
 
シネマート心斎橋にて4本ハシゴの2本目。
1本目に観た『アイリッシュマン』は、209分の長尺に眠くなるはずが眠くならず、
だけど2本目の本作はなんとなく眠くなりそうなタイトルじゃないですか。
監督がフェルナンド・メイレレスだと気づかなければパスしたかもしれません。
だって好きなんですよ、スペイン語とかポルトガル語圏の映画が。
これも『アイリッシュマン』と同じくNetflix独占配信作品
 
2012年にホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿(=現教皇)と教皇ベネディクト16世(=現名誉教皇)の間で
実際に交わされたという対話を再現しています。
眠くなるどころかめちゃめちゃ良くて、対話だけでこんな佳作がつくれるものなのかと驚きました。
 
オープニングからにっこりしてしまう。
ネットがイマイチわからん教皇が航空券を自分で予約するために航空会社に電話。
名前を聞かれて答えたら、「教皇と同じ? 冗談やめてよね」と切られてしまう(笑)。
そんなシーンからスタートします。
 
アルゼンチン・ブエノスアイレスの枢機卿ベルゴリオは、いわば革新的。
聖職者による児童虐待が露見したとき、聖職者の担当をただ異動させただけのカトリック教会を非難。
また、同性愛を認めない教会にも反対の姿勢を見せ、同性愛者も躊躇なく受け入れている。
 
第264代ローマ教皇のヨハネ・パウロ2世が亡くなり、
第265代を選出するための“コンクラーヴェ”がおこなわれたさい、
ベルゴリオも革新的な意見を持つ枢機卿たちの票をいくらかは集めたが、
票集めに余念がなかったベネディクト16世が満々のやる気を見せて教皇に。
 
変わろうとしない教会に嫌気が差し、枢機卿を辞職することを考えるベルゴリオは、
ベネディクト16世に辞職願を提出しようと手紙を書くが、一向に返事が来ない。
仕方なくバチカン市国まで出向こうとしたまさにそのとき、
先方から話がしたいので来るようにとの連絡が入る。
辞職願を手に、ベルゴリオはベネディクト16世に会いに行くのだが……。
 
ベルゴリオにジョナサン・プライス。ベネディクト16世にアンソニー・ホプキンス
ほぼこのふたりの会話劇なのですが、これが圧巻で。
 
生き方も考え方もまるで違う両人。
ベルゴリオが口ずさむのはアバの“ダンシング・クイーン”で、ビートルズにも詳しい。
一方のベネディクト16世はピアノが得意でCDまで出している。
そのCDをアビーロードスタジオで録音したにもかかわらず、ビートルズわからんと言う。
誰にでも気さくに声をかけ、庭師ともすぐ仲良くなるベルゴリオに対し、
ベネディクト16世は他人をよせつけない雰囲気があります。
普通の格好をしてピザまで買いに行くベルゴリオに笑いました。
 
相容れることはないと思われたふたりなのに、話をするうちに様相が変化する。
ベネディクト16世が実は退任するつもりだとベルゴリオに打ち明けるくだりは
観ているこちらも唖然。マジかよオッサンと言いたくなりました(笑)。
ローマ教皇って、死ぬまで在位、死んだら退位というのが普通らしく。
過去に自ら退位を宣言した例はあるそうですが、12世紀の話なのだそうです。
 
我が国の天皇が存命中に退位ということになったのも、
ローマ教皇のこんな例があったからなのかと思わずにはいられません。
 
涙を流すなら嬉しい涙を。
こんな人が現ローマ教皇であることを嬉しく思う。
と思っていたのに、年始のニュースを見て焦りました。
信者の女性の手を教皇がぺしぺしと叩いたとか。
だけど「痛いやんか」と言いたくなるぐらい強い力で
女性が教皇を引っ張っている姿も写っていたようで、
それでも手を叩いたのはあかんことやったと詫びる教皇に人々は同情的とのこと。
ちょっと安心しました。

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