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2019年9月に読んだ本

2019年9月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2639ページ
ナイス数:706ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly
 
■ここは私たちのいない場所 (新潮文庫)
映画『火口のふたり』がわりと好みだったので、その原作と同じ著者の本作を衝動買い。本作が「大切な人を失ったばかりの、著者の担当ではない編集者」のために書かれた物語であることを解説で知り、より心に沁みました。私は解説者と同じく、産まなかった後悔より産んだ後悔のほうが怖いような気がして、子どものいる世界に入ることを拒んだ人間です。本作の登場人物たちは清廉潔白な人生を送ってきたわけではないけれど、ひとりひとり、異なる「誠実さ」がある。不倫をしようともハニートラップを仕掛けようとも(笑)。人は想い合って生きている。
読了日:09月01日 著者:白石 一文
https://bookmeter.com/books/14260721

■引っ越し大名三千里 (ハルキ文庫)
時代小説にはまだまだ苦手意識があるので、映画版を観てから読むほうがイメージしやすい。よくぞこれに星野源と高橋一生を当てたなぁと感心しました。ひきこもりの書庫番が国替えを仕切る奉行に命じられ、最初は頼りなげだった彼の表情がどんどん締まっていく様子が原作でも感じられて楽しい。原作と映画版では大きく印象の異なる登場人物もいて、私は映画版のほうがより魅力的だと感じました。高畑充希が演じた於蘭は原作ではえらく積極的(笑)。この映画版は絶妙の配役で、万人受けすると思われます。こりゃ本じゃなくて映画の感想だな。(^^;
読了日:09月06日 著者:土橋章宏
https://bookmeter.com/books/10986592

■怪談のテープ起こし (集英社文庫)
怖がりのくせして出先でこんな本を購入。昼間限定で読むようにしていたから時間がかかってしまいました。帯が煽る煽る(笑)。ようやく最終章までたどり着いて、どうせフィクション、怖い言うてもフェイクだしと思ったのに、解説がまた煽るのよ。フェイクだと思うのは自由ですけど、みたいな感じで(泣)。怖がりでも大丈夫、大丈夫です。でも、ひとりでお風呂に入ったり、公衆トイレに入ったり、エレベーターに乗ったりするときに思い出すこと必至。事故現場に供えられている花を見てドキッ。雨の日は黄色い人を探してしまうことでしょう。こえぇ。
読了日:09月10日 著者:三津田 信三
https://bookmeter.com/books/13451709

■ふわふわ (講談社文庫)
あからさまに冊数稼ぎの1冊。たった54頁、頁を埋めているのはほぼ絵。たまには音読してみようと思い、誰も聴いちゃいないのに、声に出して読みました。楽しかった。でも、音読しやすいレイアウトではないことに気づく。最後の一語を残して改行されたりするから、練習してからでないとスムーズな朗読はできません。こういうレイアウトを見ると、頁の文字組みにこだわる京極夏彦ってすげぇなと思うのです。しかもあの分厚さだし。そんなわけで、京極さんに想いを馳せた読書時間でした。私はここまで大きくない雌猫のほうが好きです(笑)。
読了日:09月11日 著者:村上 春樹,安西 水丸
https://bookmeter.com/books/530231

■高校事変 II (角川文庫)
この間、映画『JKエレジー』を観ました。ろくでなしの家族のせいで金を稼がざるを得ないJKが怪しげな動画に出演。制服着て空き缶踏みつぶすのを見て興奮するマニアがいるなんてとドン引きしたけれど、本作で殺されそうになるJK・奈々未も似たような状況でより悲惨。それを救うJK・結衣。独りでヤクザ50人ぶった斬りって、どんだけ強いねん。前作のように妙な黒幕がいないから、話がシンプルでスピード感にも溢れている。アドレナリン出まくり。これを面白いというのは憚られるぐらいJKの手でえげつない殺され方をします。でもオモロイ!
読了日:09月12日 著者:松岡 圭祐
https://bookmeter.com/books/14098969

■神戸・続神戸 (新潮文庫)
下手くそな浅田次郎と洗練されていない森見登美彦を併せたような印象なのです。でもたまらなく惹かれる。歯科医で俳人の著者。戦時下に移り住んだのは、多国籍の長期滞在者が集まる怪しげなホテル。インテリなのにプライドをまったく感じません。しかもお人好し。自宅に人がなだれ込んでもそのまんま。便所が詰まれば糞まみれになって掃除もする。いずれの話も飄々としていて、かつ無理に人を笑わせようとしていないから余計に可笑しい。しかも切ない。彼が当時を共に過ごした人たちは皆どうしているのか。あらためて、戦争はしちゃいけないと思う。
読了日:09月16日 著者:西東 三鬼
https://bookmeter.com/books/14059907

■危険なビーナス (講談社文庫)
獣医の伯朗が義妹の楓と共に失踪した弟を探す。なんとなくチープなんです。伯朗は胸とお尻ばかり見ているし、やたら嫉妬深い。惚れっぽくて純情なオッサンか知らんけど、可愛ないっちゅうねん。楓の喋り方を聞いていると、なぜか内藤了の藤堂比奈子シリーズに登場する麗華様を思い出します。麗華様には人間的魅力を強く感じるのに、こっちの楓のことはラスト直前まで好きになれません。500頁弱の最後の一言が「パンツは見えなかった」って、これホンマに東野圭吾かいな。それでもしっかり騙された私です。鼻の下のばしてるオッサンは見とうない。
読了日:09月20日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/14124238

■秋山善吉工務店 (光文社文庫)
『さよならドビュッシー』の映画版の出来がヒドかったせいで長らく遠ざけていた七里さん、いまやすっかり虜です。火事に遭って父親は死亡、母親と息子2人は父親の実家に身を寄せることに。朴訥としてザ・昭和な爺ちゃんは、嫁にとっても孫たちにとっても怖い以外のなにものでもない。しかし、新天地で厄介事に巻き込まれたとき、愛想はこれっぽっちもない爺ちゃんによって救われる。人情ドラマであるうえに、ミステリー要素もちゃんと含まれ、本当に面白い。恥ずかしくない生き方をすること。長く生きているというだけでじゅうぶんに尊敬に値する。
読了日:09月24日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/14283805

■5分間SF (ハヤカワ文庫JA)
SFはなんとなく難しいという先入観があります。『オデッセイ』も映画を先に観ていたので面白く読むことができましたが、もしも原作を読むのが先だったらついていけなかったかもしれません。短い話ならば大丈夫かもと手に取りました。最初の数章は快調。特に宇宙の料理教室の話はブラックで悲惨なグロさに大笑い。しかし飲酒しながら読むときの私の常、酔っぱらうと訳わからず。「イリジウムのメッシュを走り抜け、直接シナプスを触発する」とか、私にはまるでイメージでけん。電車の乗り換えまで10分、2話読めましたから、タイトルに偽り無し。
読了日:09月25日 著者:草上 仁
https://bookmeter.com/books/13943065

■ポテト・スープが大好きな猫 (講談社文庫)
今月序盤はあからさまな冊数稼ぎに春樹さんの絵本。今月最後も同じく春樹さんの絵本ですんません。楽しかったけれど字送りなどのページレイアウトが気になった『ふわふわ』に対し、こちらはそんなこともありません。お互いになくてはならない存在のくせして、双方ツンデレなお爺さんと猫。その様子がたまらなくイイ。春樹さんのあとがきを読めば楽しさもさらに増し、絵だけもういちど見直したくなります。ほんとだ、郵便受けの隣に堂々とした便器が(笑)。長編ミステリーを読む合間にはこんな和める絵本もあったほうがいいよなぁと思う今日この頃。
読了日:09月30日 著者:テリー・ファリッシュ
https://bookmeter.com/books/82424

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