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『ぼけますから、よろしくお願いします。』

『ぼけますから、よろしくお願いします。』
監督:信友直子

2月の3連休の真ん中の日、晩は塚口で宴会の予定。
早起きすればその前に映画を4本観ることも可能だったけれど、
前日も北浜でめっちゃ飲んで食べているから起きられず。
とりあえず25回目の『ボヘミアン・ラプソディ』を観てから十三へ。
第七藝術劇場にて2本ハシゴ、1本目がこれでした。

監督はドキュメンタリー作家の信友直子。
1961年生まれの信友監督は、40代のときに乳癌と診断されました。
その闘病生活をフィルムに収めたのが『おっぱいと東京タワー 私の乳がん日記』。
これがフジテレビで放送されて話題になり、国内外の複数の賞を受賞。
その後に撮ったのが2016年と2017年の本作のテレビ版。
そこに追加取材や再編集を入れ、このたび劇場版として公開されました。
各地のナナゲイのような(笑)劇場で昨年11月から順繰りに上映。

広島県呉市で生まれ育った信友監督。
カメラ好きの母親の影響で幼い頃から撮るのが好きだったとか。
東大進学のために上京、卒業後は森永製菓に入社。
CM制作を手がけたのち、テレビ番組制作会社へと転職。
ドキュメンタリー制作に携わるテレビディレクターとして活躍するように。

結婚するつもりもないらしい娘を咎めるようなことはひと言もいわない両親。
乳癌の手術を受けたときは、どうしようもないほど落ち込む監督でしたが、
ユーモアあふれる言葉をかけてくれる母親の助けによって乗り越えます。

やがて、そんな両親の思い出のためにカメラを回しはじめた監督は、
母親の様子が少しずつおかしくなっていることに気づきます。
病院に連れて行くと、アルツハイマー型認知症との診断が。
1929(昭和4)年生まれの母と1920(大正9)年生まれの父。
ふたりきりにしておいてよいものか。
迷って父親に尋ねると、自分が生きている間は大丈夫だと断言。

こうして、同居はしないままではあるものの、父と母の生活を記録しつづける監督。

タイトルから、もっと明るい作品を想像していました。
これまで介護に携わったことのない私のような者の希望的観測だったのでしょう。
介護ってそんなに大変じゃないよ、気持ち次第だよとでも示してもらえることを
心のどこかで期待していたのかも。

監督のお母さんは、自分がぼけて行っていることをわかっている。
私どうしちゃったんだろう、おかしいよねぇ、迷惑かけるねという姿が悲しい。
こんなだったら死ぬほうがマシだと何度も叫ぶお母さんに
ついにはお父さんがキレ、「だったら死ね」と怒鳴り返すシーンも。

自分はぼける前に死にたいと思う。
でも、そのときはきっと急に来るから、自ら命を絶つタイミングははかれない。
このご両親にはまだまだ生きていてほしいと思うけれど、
長生きするにはお金がかかる。ぼけてひとりでは生きていけない。

いろんなことを考えさせられる作品です。
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