『この道』
監督:佐々部清
出演:大森南朋,AKIRA,貫地谷しほり,松本若菜,小島藤子,
由紀さおり,安田祥子,羽田美智子,松重豊他
TOHOシネマズ伊丹にて、前述の『蜘蛛の巣を払う女』とハシゴしました。
私の出身高校の校歌は、北原白秋作詞、山田耕筰作曲なんです。
スゴイでしょ!?とかつて自慢したことが何度かあります。
本作を観たら意気消沈、自慢できることでもないのかぁ。
1952(昭和27)年、「北原白秋 没後十周年記念コンサート」が開かれる。
白秋が作詞した童謡『この道』を指揮するのは山田耕筰(AKIRA)。
コンサート終了後、耕筰にインタビューする記者(小島藤子)が
白秋はどんな人だったのかと尋ねると、途端に耕筰は口を閉ざす。
詫びつつも詰め寄る記者に対し、耕筰は言う。「どうしようもない奴だった」と。
1910(明治43)年、初夏のこと。
詩人の北原白秋(大森南朋)は、隣家の人妻・俊子(松本若菜)に夢中。
彼女の夫の留守を狙っては入り浸り、俊子にソフィと名づける始末。
見かねた与謝野晶子(羽田美智子)が忠告するが、ろくすっぽ聞いていない。
晶子の懸念どおり、妻の浮気を疑う俊子の夫に罠を仕掛けられ、
あっけなくそれにひっかかって逮捕される。
晶子の夫・鉄幹(松重豊)が釈放金を払ってくれたおかげで家に戻るが、
学習能力のない白秋は、懲りずに俊子と結婚したものの、逃げられてしまう。
二度目の妻ともじきに別れ、
やがて白秋は三度目の結婚。妻・菊子(貫地谷しほり)と子どもに恵まれる。
白秋にかまわずにはいられない鈴木三重吉(柳沢慎吾)は、
1918(大正7)年に児童文芸誌『赤い鳥』を創刊し、童謡と児童詩欄を任せていたが、
白秋とドイツ帰りの音楽家・山田耕筰を引き合わせることに。
ふたりの最初の出会いは最悪。
耕筰が白秋の詩に音楽を付けたいと言ったことに対して、
白秋が自分の詩だけでは不完全なものだと言われたように取ったためだ。
売り言葉に買い言葉で喧嘩となり、別れたふたりだったが、
地震をきっかけにふたりの仲は変わってゆき……。
自慢の校歌だったはずがガックリした理由は、
売れっ子になった白秋と耕筰が社歌やら校歌やら頼まれるたびに
ホイホイと引き受けて作りまくっていたというくだりがあったからです(笑)。
それでもいい歌には変わりない。
ホイホイ作っていたからといって、いい加減だったわけでもないと思い直し。
馴染みのある童謡がたくさん出てきてしんみり。
老けメイク苦手な私も、この耕筰役のAKIRAのメイクはよくできていたと思います。
軍歌しか作ることが許されなくなるかもしれぬと憂えていたふたり。
今も彼らの歌が残り、そしていろんな歌が生まれている国を喜んでくれていることでしょう。
EXILEにはまったく興味のない私ですが、
ATSUSHIが歌うエンディングの『この道』はとても良かったことを付け加えます。
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