『ウォーナーの謎のリスト』
監督:金高謙二
ナレーション:志賀廣太郎
前述の『人間爆弾「桜花」 特攻を命じた兵士の遺言』とハシゴ。
同じく第七藝術劇場にて。
第二次世界大戦中に一度も空襲を受けなかった場所、神田古書店街。
それは、ロシア人の親日家セルゲイ・エリセーエフが、
靖国通り沿いのこの一画には空爆しないようにダグラス・マッカーサーに進言したから。
ほかにも同様に空襲を受けなかった場所があります。
寺社、図書館、博物館などなど、150を超える日本の文化財が記されたリスト。
戦争をしないで済むならそれが最善。
しかし万が一戦争しなければならなくなったときに、これらの場所は空爆するべからず。
太平洋戦争当時にそんなリストを作成した人がいました。
アメリカ人の美術史家で、日本美術史の権威だったラングドン・ウォーナー。
日本文化を救ったとされているが、それは真実なのか。
数々の資料や証言をもとに、新しい事実を伝えようというのが本作の試み。
結局どこまでが真実なのかはわかりません。
ボストン美術館では岡倉天心の助手を務め、天心に可愛がられていたのに、
最後にはどうやら二人は絶交状態にあった様子。
莫高窟からウォーナーが剥がしてアメリカに運んだ壁画等について、
保存状態が悪いから良いところへ移したというようなウォーナーの言い分も、
なんだか勝手な話に感じられ、いろいろと疑問も。
純粋に日本の文化財を保護したかったゆえのリストだったのかどうかは別として、
おかげで多くの文化財が守られたのは事実。
文化は共通、どこの国のものであっても守られるべきもの。
閉架だった日本の図書館が、アメリカによる統治時代に開室になり、
本を外に持ち出せるようになった話なども面白い。
金高謙二監督の前作『疎開した40万冊の図書』(2013)は、
戦時中の日比谷図書館の本の疎開について描かれた作品とのこと。
未見なのでそれも観てみたいです。
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