『セルフレス 覚醒した記憶』(原題:Self/Less)
監督:ターセム・シン
出演:ライアン・レイノルズ,ベン・キングズレー,ナタリー・マルティネス,
マシュー・グード,ヴィクター・ガーバー,デレク・ルーク他
ダンナ2泊3日の国内出張中で、ワタシ映画三昧の2日目。
火曜日はTOHOシネマズのシネマイレージ会員デーなので、
前売り券がなくても1,400円。
レイトショーは1,300円で観られるから、この日も仕事帰りに2本。
1本目はインド出身の色彩の魔術師、ターセム・シン監督の作品。
『ザ・セル』(2000)、『落下の王国』(2006)、『白雪姫と鏡の女王』(2012)、
いずれもその鮮やかな色づかいが印象に残っています。
それに比べて本作は色ひかえめと思いきや、やはりマジック健在。
たいして期待もせずに観に行ったらかなり面白かった!
「ニューヨークを創った男」とまで称えられる建築家で大富豪のダミアンは、
癌があちこちに転移し、余命わずかと宣告される。
もうすぐ死ぬのだということを伏せて一人娘のクレアに連絡を入れるが、
これまで家族に目を向けてこなかった父親とは口も利きたくないらしい。
NPO法人を主宰するクレアの資金の足しにと小切手を持参すると、
「なんでも金で片づけられると思っている最低な男」とバッサリ。
このまま娘と和解せずに死んでしまうのか。
そんな折り、ダミアンに謎めいた科学者が接触してくる。
オルブライトというその男は秘密の研究所を運営しており、
死者の頭脳を若い肉体にそのまま転送できると言う。
転送先の肉体は最先端クローン技術でつくりあげたもので、すでに成功例あり。
信じがたい話ではあるが、金なら唸るほどあるのだから、試す価値はある。
こうしてダミアンは死んだ瞬間に若い肉体を手に入れ、
エドワードという新しい名前で暮らしはじめる。
幻覚等の副作用を抑えるために薬の服用が必要だが、
その面倒など些細なものに感じるほど、新しい人生を謳歌。
ところが、ひょんなことからクローンだという話に疑問を持つようになる。
幻覚で見た記憶を頼りに辿りついた先には、女性と少女が。
ダミアンの容貌を見て驚喜する女性マデリーンと少女アナ。
クローンのはずの肉体は、マデリーンの夫マークという男のものだったのだ。
殺人を犯してまで頭脳の転送がおこなわれていたことを知ってしまい、
ダミアンはマデリーンとアナ共々、組織から命を狙われるようになるのだが……。
ダミアン役にはベン・キングズレー。
エドワードおよびマーク役にはライアン・レイノルズ。
ベン・キングズレーの出番は最初の数十分だけなのに、その存在感の大きいこと。
見た目ライアン・レイノルズなのに中身はベンだと感じさせるのは、
ふたりとも演技が上手いということなのでしょう。
ベンにその力があるのは当たり前のことですが、ライアンも一皮むけたかも。
自分とは真逆の人生を送る若者として過ごしてみてわかったこと。
エドワードとしてクレアに会いに行くシーンには胸を打たれます。
鑑賞前の印象とは異なり、意外に厚みのある作品でした。
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