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『母よ、』

『母よ、』(原題:Mia Madre)
監督:ナンニ・モレッティ
出演:マルゲリータ・ブイ,ジョン・タトゥーロ,ジュリア・ラッツァリーニ,
   ナンニ・モレッティ,ベアトリーチェ・マンチーニ他

わが家の日曜日の晩ごはんは16時と決まっているので、
日曜日に朝から映画を観に行くとしても2本が限界なのですが、
プロ野球シーズンが始まると、デーゲーム中継が始まるまでに帰宅したい。
そんなわけで、鑑賞可能な作品がどんどん限られてきます。
欲張らずに1本だけ観て帰ればいいのですけれど、
観られそうなら2本観たいしということで、テアトル梅田で2本。
昨日ではなくて、1週間前の日曜日のことです。

イタリア/フランス作品。
『息子の部屋』(2001)や『ローマ法王の休日』(2011)のイタリアの名匠が
『はじまりは5つ星ホテルから』(2013)のヒロインを起用して。

女流映画監督のマルゲリータは新作の撮影真っ最中。
恋人に別れ話を切り出したばかりで、撮影に集中したいが上手く行かない。
離婚した夫が引き取る反抗期の娘リヴィアともすれ違いの日々。

それよりも何よりも気がかりなのは入院中の母アーダのこと。
兄ジョヴァンニが休職して面倒をみてくれているが、
この頃のアーダといえばボケているのか、話が定まらない。

ある日、主演に迎えたアメリカ人俳優バリーが撮影に加わる。
ろくに台詞を覚えもせずに大口を叩くバリーにマルゲリータは辟易。
バリーも意地になるものだから、現場で衝突してばかり。

そんななか、アーダの病状が悪化。
ついに余命わずかとの宣告を受けるのだが……。

マルゲリータの様子は更年期を思わせるものだから、
同年代以上の女性ならば身につまされるでしょう。

とにかく自分が駄目に思えて、些細なことで落ち込む。
病院食は美味しくないだろうからと、撮影帰りに総菜を買うマルゲリータ。
そんなこととは知らないジョヴァンニが持参したのは、自前の美味しそうな料理。
目の前で兄の料理を美味しそうに食べる母親を見て、
マルゲリータは自分の持ってきた総菜をこっそりかばんにしまい込みます。
序盤のこのシーンは観ているこちらも凹みます。

くたくたになって眠りにつけば、水が漏れて部屋中びしょびしょ。
電力会社がやってくれば、請求書が行方不明。焦ると泣きそうに。
イライラするのに、自分が何にイライラしているのかもよくわからない。
さまざまなシーンが他人事とは思えません。

高校のラテン語教師だったアーダ。
孫娘のリヴィアにラテン語について解く彼女。
アーダの家を訪れる何人もの元生徒の言葉が心に響きます。

敬意を持って人と接することの大切さを感じました。
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