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『クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落』

『クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落』(原題:The Queen of Versailles)
監督:ローレン・グリーンフィールド

4本ハシゴした日の翌日の木曜日、仕事帰りに梅田まで行くのは面倒だけど、
自宅近くの劇場ではもう観たい作品なし。
とても気になっていた本作を観るべく、テアトル梅田へ。
驚くばかりのドキュメンタリー作品です。

タイムシェア(リゾートマンションなどの共同所有のことで、
顧客は所有したい期間に応じた金額を支払う)によるビジネスで、
アメリカ屈指の大富豪に成り上がったウエストゲート社の創設者デヴィッド・シーゲル。
2度の結婚と離婚の後、30あまり年下の元ミス・フロリダ、ジャッキーと再婚。
ジャッキーは7人の子どもを出産、不遇な姪1人も迎え入れる。

2500平米ほどもある十分な豪邸に住んでいるにもかかわらず、
ベルサイユ宮殿に魅せられたふたりは、あの宮殿そのままの自宅がほしいと考える。
舞踏場、スシバー、フルサイズの野球場、テニスコートにスケートリンクまで、
あれもこれも完備した大豪邸の建設に乗り出した結果、総工費は100億円、
約8400平米のアメリカ一大きな家が完成する見込みとなった。

写真家であり映像作家でもあるローレン・グリーンフィールド監督は、
こんなシーゲル夫妻のアメリカンドリームをカメラに収めるべく、
密着取材を開始したわけですが、取材途中に大変なことに。

アメリカ、そして世界を破滅的な金融危機に陥れたリーマンショック
シーゲル夫妻の莫大な資産は一夜にして霧散。
転落の一途をたどる一家をカメラに収めつづける監督。

本作のチラシやポスターを見たときは、
バレーボール級巨乳美人のジャッキーに、
金の亡者のバカ女みたいなイメージを持っていました。

ところがこの人、そうではない。
彼女が学生だった頃、地元の大企業といえばIBM社ぐらい。
IBMに入社すべく工科大へ入学、立派な成績で卒業。
当時はまだ珍しかった女性エンジニア。
なのに女性蔑視も甚だしい上司のひとことでアホらしくなったのか、
退職してモデルへの道を歩みます。
2度目の離婚後だったデヴィッドに惚れ込まれて結婚。
結婚前は体型が崩れるのが気になっていたのに、
子どもが可愛くて仕方なく、結局7人も産むことに。

育児は乳母まかせだったとはいえ、そもそもが超ポジティブ。
子どもに対して愛情を持っていることもよくわかります。
デヴィッドと結婚したせいでお金の感覚が麻痺、浪費癖は治らない。
庶民の生活を忘れてしまって、時にとんちんかんな言動に走りますが、
デヴィッドがイライラしても決して同じようにはなりません。

賢い女性というよりは、天性のおおらかさを持っているような。
大富豪から転落した夫婦と聞けば、嫉妬も絡んで「それ見たことか」と笑いたくもなるところ、
ジャッキーならなんとかなりそうで、なんとかしてほしいと思うのでした。
デヴィッドは所詮若い巨乳美女好きのエロじじいに見えて、どうでもいいけれど、
ジャッキーのことはいつのまにか応援したくなっている私がいます。

タイムシェアの営業トークなど、ほかにも興味深い点がたくさん。
話のネタに。
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