『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』(原題:Sacro GRA)
監督:ジャンフランコ・ロージ
『友よ、さらばと言おう』→『ソウォン/願い』→『めぐり逢わせのお弁当』と来て、
全館停電の日の〆はこれで。
梅田スカイビル4階から下を眺めると、この日の16時からオクトーバーフェスト開催中。
設営中だったステージや屋台が3本目鑑賞中に準備完了。
あ~、ビールを飲みたいけれど、お昼にワインを飲んだから自重しよう。
ハシゴ1本目でフランスの高速鉄道TGVが登場しましたが、
本作に登場するのはイタリアの環状高速道路GRA。
原題の“Sacro GRA”は「神なる環状線」の意味だそうです。
イタリアの首都ローマを取り巻くように走る環状高速道路GRA。
そのGRAに焦点を当て、周辺で生きる人びとの人生を見つめたドキュメンタリー。
GRAは全長70kmの環状高速道路で、1日の車の交通量は16万台。
そのGRAを巡回し、事故現場で人命救助に当たる救急隊員は、
仕事の合間に年老いた母親の面倒をみています。
高速道路で囲まれた土地にこんなに緑が溢れているのかと驚かされる場所で、
樹木の中から聞こえる音を研究する植物学者。
豪勢ながら古くさい屋敷に住みつづける没落貴族は、
屋敷を撮影に貸し出ている様子。撮影目的は不問だそうで。
高速道路を走る車と着陸間際の飛行機がすぐそこのモダンな建物。
居住者の老紳士と娘は日がな一日お喋り。
海外からの養殖ウナギの危険性をぼやくウナギ漁師は、
後継者がいないことを憂えていますが、
妻は話を聞いているのかいないのか、ずっと編み物の手を止めません。
オカマの車上生活者は、警察から目を付けられようともそこから動こうとしない。
ガラス張りの店のテーブルでピンヒールを履いて踊る若い女性。
『コヨーテ・アグリー』(2000)が懐かしいけれど、
ハリウッド映画のそれと、本作のそれとではまるでちがう趣。
それぞれの人物と何カ月間も行動を共にしたという監督。
被写体となっている人びとには、撮影者への信頼が感じられて心地よし。
朝昼晩と移り変わる空の色、風景も美しい。
ただ、それだけに、これを4本目に持ってきたのは浅慮でした。ね、眠い。(^^;
眠かったのは私だけではなかったと見えて、
私の前席に座っていた人はどんどん椅子に沈んでいくし、
あちこちから寝息にいびきが聞こえました。
写真集を見ているかのようでしたから、神経たかぶることもなく、
帰宅後は気持ちよい眠りに就けたのですけれど。
来場記念にはバリラのパスタ。
お~、こんな特典は『あしたのパスタはアルデンテ』(2010)以来。
嬉しいじゃありませんか。
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