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『ディス/コネクト』

『ディス/コネクト』(原題:Disconnect)
監督:ヘンリー=アレックス・ルビン
出演:ジェイソン・ベイトマン,ホープ・デイヴィス,フランク・グリロ,ミカエル・ニクヴィスト,
   ポーラ・パットン,アンドレア・ライズボロー,アレキサンダー・スカルスガルド他

前述の『ハミングバード』の30分後、同じく梅田ブルク7にて。
この日の最終目的地が夙川であるにもかかわらず
梅田で映画を観たのは、どうしても本作が観たかったからです。

美形ながら内気な少年ベンは、変わり者あつかいされて友だちがいない。
悪ガキのジェイソンとフライは、いたずらのターゲットをベンにしようと決める。
他校の女子ジェシカを名乗り、SNSでベンにアクセス。
そうとは気づかないベンのこっぱずかしい返信を見ては大笑い。
ベンが架空の女子ジェシカに送信した写真を、ジェイソンとフライは学校中にばらまく。
傷心のベンは首つり自殺を図り、昏睡状態に陥る。

ベンの父親で弁護士のリッチは、これまでの生活の中心は仕事だったが、
今回の件ではじめて息子に目を向ける。
もう目を覚ますことはないかもしれない息子を前に、
自殺を図った原因は何なのか、調査に乗り出す。

一方、ジェイソンの父親は元刑事マイク。
刑事時代にネット犯罪担当だったマイクは、現在はネット専門の探偵。
彼のもとにカード詐欺にあったデレック&シンディ夫妻から捜査の依頼が入る。
シンディは子どもを亡くした悲しみからチャットにはまり、
知らぬ間に個人情報を盗まれていたらしい。
貯金は丸ごと盗まれて、夫婦は一文無し、家財道具も売るはめに。
マイクから得た情報を頼りに、犯人と推測される男の家に侵入する。

また、リッチが顧問弁護士を務める地元テレビ局の女性レポーター、ニーナは、
違法ポルノサイトに接続し、そこで働く若者カイルに接触、取材を申し込む。
自分の面倒を見てくれているボスのことをカイルは悪く言おうとはせず、
取材にも乗り気ではなかったが、顔も声もわからないようにすると言われて応じる。
ニーナの取材は全国ネットでも放送され、注目を集めるのだが……。

監督は車椅子ラグビーを取り上げたドキュメンタリー『マーダーボール』(2005)を撮った人で、
フィクションを撮るのはこれが初めて。
観客をぐいぐい惹きつける手腕は相当なものだとお見受けしました。

そばにいる生身の人間とコミュニケーションが取れず、
ネット上で知り合った人には何もかもさらけ出してしまう。
そこに悪意があるなんて思ってもみない。
悪意にひっかかったことがわかる場面は絶望にあふれ、どうしようもない気持ちに。

リッチとベン、マイクとジェイソン、それぞれの父子間に意思疎通は皆無。
それが、ベンの自殺で多少なりとも罪の意識を感じたジェイソンが、
ジェシカになりすましたままリッチとチャットしたことから、
父親たるものの気持ちに触れるようになります。
自分の息子たちが被害者と加害者であることを知ったときのリッチとマイク、
この2人のやりとりと、それを見つめるジェイソンの表情は、胸に迫るものがありました。

怖いよ、ネット。そんな言葉だけでは済まされない、
人とのつながりのあり方を考えさせられる作品です。

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