『くじけないで』
監督:深川栄洋
出演:八千草薫,武田鉄矢,伊藤蘭,檀れい,芦田愛菜,上地雄輔,ピエール瀧,
鈴木瑞穂,尾上寛之,橋本じゅん,倉野章子,でんでん,池脇千鶴他
ダンナが台湾からのお客様を連れて終業後に晩ごはん。
お客様は高齢の方らしく、それほど遅くはならないだろうと聞いて、
ならば1本だけ映画を観る時間はありそうだなと。
ちょうど109シネマズ箕面は「ポイント会員感謝の日」で1,000円。
21時までに家に帰るには選択肢があまりなく、本作に決定。
90歳を過ぎてから詩を書きはじめ、98歳で処女詩集を刊行した詩人、柴田トヨさん。
彼女役を演じるのはまもなく83歳になる八千草薫。
本当にいつまでも可愛らしい女性です。こんなおばあちゃんになりたい。
2006年、栃木県宇都宮市。
最期は妻のことも誰だかわからなくなった夫の貞吉(鈴木瑞穂)を見取り、
ひとりきりになってしまったトヨ(八千草薫)。
息子の健一(武田鉄矢)といえば、物書きの夢に破れてから転職ばかり。
20も30も仕事を替えて一向に続かず、競輪場通い。
その妻である静子(伊藤蘭)が不甲斐ない夫に代わって家計を支え、
トヨのこともあれやこれやと気にかけてくれる。
静子はトヨに同居を提案するが、トヨは首を縦に振らない。
身の回りの不自由なことは若いヘルパー(朝倉えりか)に頼み、
極力、静子の手を煩わせぬようにしているようだ。
しかし、貞吉を亡くしてからトヨは塞ぎがち。
さすがに心配した健一は、何か気晴らしになることはないものかと考え、
ふと詩を書いてみてはどうかと思いつく。
健一の勧めでなんとなく書きはじめてみたトヨ。
これが思いのほか楽しくて、見るもの聞くものを心に留めるようになり……。
トヨが徐々に元気を取り戻し、言葉を紡ぐうちに過去の記憶も呼び覚まされます。
つらい奉公を経験した子ども時代のトヨを芦田愛菜、
また、空襲のまっただ中、貞吉に見初められた若かりし頃のトヨを檀れいが演じ、
健一すら知ることのなかった彼女の人生を観客も一緒に振り返ることになります。
深川栄洋監督って、なんだかこういう昭和のイメージが強い作品が多いような。
まだ30代なんですけど、なんでしょ、この雰囲気は。
で、こういう雰囲気の作品に共通して言えることですが、
イマイチと言ってはいけないオーラがあります。
言うと自分が極悪人に思えてくるという。(^^;
正直に言うといささか退屈ではありました。けれど眠気を催すというほどでもない。
ただただ「いいおばあちゃん」に見えていたトヨさんが、
たいへんな思いで戦時中を生き抜いてきたこと、
その思いこそが人を気遣う優しさとなっていることがわかります。
トヨさんは今年1月、101歳でお亡くなりになったそうです。
ご冥福をお祈り申し上げます。
「くじけないで
ねえ 不幸だなんて 溜息をつかないで
陽射しやそよ風は えこひいきしない
夢は 平等に見られるのよ」。
……とここで締めくくる予定だったのですが、
ふと今日の朝刊を開くとあの「ヒマラヤ下着」の広告記事が!
ひだまり本舗という会社の製品だったのですね。
そしてなぜか、「ひだまりは、映画『くじけないで』を応援しています」。
本作にヒマラヤ下着は出てきませんが、ぬくぬくよ♡ってことでしょか。(^o^)
—–