『言の葉の庭』
監督:新海誠
声の出演:入野自由,花澤香菜,平野文,前田剛,寺崎裕香他
もしも、いちばん好きなアニメーション作品は何かと尋ねられたら、
きっと『秒速5センチメートル』(2007)だと答えます。
同監督の本作は現在も公開中、DVDは先週から販売、レンタルは来月上旬に開始。
TSUTAYA DISCASの予約リストにもずいぶん前に登録済みで、
観に行くべきかどうか迷っていましたが、
先週初め、どうしても劇場で観たくなってTOHOシネマズ西宮へ。
靴職人を目指す15歳の高校生、タカオ。
雨が大好きで、学校へ向かう途中に雨が降れば電車をおりる。
傘をさして日本庭園風の大きな公園に足を伸ばすと、
誰もいない屋根の下、ベンチに腰かけて靴のデザインをスケッチ。
雨の日の午前中は学校をさぼってこうするのが習慣だ。
あるときからこの屋根の下で女性を見かけるようになる。
タカオよりひとまわりほど年上とおぼしきその女性は、
朝から缶ビールを開け、おつまみにはチョコレート。
きちんとスーツを着ているところを見ると、仕事をさぼっているらしい。
約束したわけではないのに、雨が降ればここで会うようになるふたり。
家事もお手の物のタカオは、ときには弁当を多めに作り、彼女と食事。
彼女が自分の分を作ってくることもあるが、相当な味音痴と見えて、
タカオが味見しては苦笑してしまうほど。
自分の夢を家族以外には話したこともなかったタカオだが、
彼女には靴職人になりたいのだと打ち明ける。
「歩き方を忘れてしまったの」という彼女のため、
タカオは靴を作ろうとするのだが……。
美しい、本当に美しい。心洗われる映像です。
『秒速5センチメートル』では雪のシーンが印象に残っていますが、
本作では徹底して雨、雨、雨。小雨、大雨、豪雨といろんなタイプ。
雨滴の飛び跳ねる様子や水面に広がる波紋に魅入られます。
そして、そういった雨のシーンがあるから、日が射すシーンがより美しい。
公園の景色だけでなく、街や駅の雑踏、学校の廊下など、
静けさと騒がしさの対比が感じられて、すべてに目を奪われます。
ストーリーとしては、15歳の少年と27歳の女性の淡い恋なんて経験はないものですから、(^^;
『秒速5センチメートルの』のほうが俄然惹かれるものがありましたが、
この美しさはずっと見ていたい気持ちに駆られます。
この監督の音楽の使い方も大好きです。
今回は秦基博が歌う大江千里の“Rain”のカバーで、これが秀逸。
学生の頃によ~く聴いた大江千里の曲のうち、特に好きな曲を3つ挙げるとすれば
“ふたつの宿題”、“リップスティック・グラフィティ”、そしてこの“Rain”です。
衝動的に車を買い替えたら、ディーラーで付けてもらえるオーディオはカセットテープ不対応。
車ではどうしても昔のカセットテープを聴きたくなることがあるだろうと、
前の車のオーディオを付け替えてもらいました。
本作の観賞後、さっそくカセットテープの棚をごそごそ、大江千里の同曲収録アルバムを発見、
翌日から車で聴き倒しています。
結局、先週末にDVDも購入、秦基博のCDも購入。
現在の私は『言の葉の庭』一色の生活です。
ほら、今日もこんな雨、やっぱりこの曲が聴きたくなっちゃうのでした。
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