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『おおかみこどもの雨と雪』

『おおかみこどもの雨と雪』
監督:細田守
声の出演:宮崎あおい,大沢たかお,黒木華,西井幸人,平岡拓真,菅原文太他

この夏休み話題のアニメ。
『時をかける少女』(2006)、『サマーウォーズ』(2009)と同監督ということで、
この2作品が大好きだった私も封切り日に。
大阪ステーションシティシネマは幅広い層の客で満席でした。

そして、泣く気満々で行ったのに、ひと粒の涙も出なかった私は自己嫌悪。(–;

大学生の花は、ある授業のさいに見かける“彼”に声をかける。
実はここの学生ではないという彼は、花に見咎められたのだと考えるが、
花はどことなく彼に惹かれて気になっていただけ。
教科書を一緒に見たり、話をしたりしているうちに、ふたりは恋に落ちる。

ある日、彼から自分は“おおかみおとこ”であると打ち明けられる。
そう聞いても、花の彼に対する気持ちは変わらない。
満月の夜に変身して人を襲うなんてことはただの迷信。
彼は花以外にはおおかみの顔を見せず、人間として働き、稼ぎ、
ときにおおかみとして動物を狩り、食卓を潤す。

やがてふたりは娘と息子に恵まれる。
雪の日に生まれた長女の“雪”と、雨の日に生まれた長男の“雨”。
ところが、突然、彼が死んでしまう。
人間とおおかみ両方の顔を持つ子どもたちをひとりで育てることになった花は、
緑豊かな山あいの村へと移り住むのだが……。

花はたくましいです。どんなにつらくとも泣き言は言いません。
子どもたちが人前でおおかみにならぬように注意はしますが、
学校に行きたがる雪には学校に行かせるし、
不登校となった雨には学校に行けとは言わずに好きなことをさせる。
雪と雨のあるがままの姿を受け入れて愛情を注ぎつづけます。

映像が美しいのはもちろんのこと、人気俳優たちが声優としての力量も見せつけてくれます。
家族愛に溢れた文句のつけようがない作品、というところなのでしょうけれど。

引っかかったのは、『はさみ hasami』と同じく、「~してあげる」です。
柔らかく聞こえるのかもしれないけれど、やはり私はキライ。
「席を取っておいてあげたよ」、「教えてあげるね」、「何もしてあげてない」。
最初の「あげたよ」は子どもの台詞ですから、「あ、出た」と笑った程度。
そのあとはおとなの台詞。どれもわざわざ「あげる」を入れなくても成立するのに。

たとえばAさんとBさんの間の会話で、「~してあげる相手」がCさんの場合はいいんです。
AさんがBさんに、「Cさんに~してあげて」と言うなんて場合は。
そうではない場合は、この「~してあげる」が出てきた瞬間に、
私の頭の中をシラケ鳥(←死語?)が飛んでゆきます。パタパタと音を立てて。

こうなったらもう元のモードには戻れません。
その稼ぎで貯金ってどんだけあってん、なんぼ古い家で家賃が安いからって、
そんな長期間、働きもせんと暮らすのは無理やろ~とか、
嵐の日に森へ入った息子を気にするのはええけれど、娘は迎えに行かんと置き去りかい!とか、
ツッコミモードになってしまって引き返せず。

前2作のほうがず~っとよかったなぁ。
嗚呼、なんたるアマノジャク。(^o^;
—–

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