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『極道めし』

『極道めし』
監督:前田哲
出演:永岡佑,勝村政信,落合モトキ,ぎたろー,麿赤兒,
   木村文乃,田畑智子,木下ほうか,田中要次他

食べ物が登場する映画、大好きです。
本作も昨秋に公開され、劇場で観逃したことを激しく後悔。
先週末のレンタル開始となったその日に借りました。

原作は『漫画アクション』に連載中の土山しげるによる同名グルメ漫画。
キャッチコピーは「忘れられないメシがある。忘れられない人がいる」。

刑務所の204号房。
元テキ屋の南、元ホストの相田、元力士で覆面プロレスラーの島本。
それに、ヤクザの大親分だった(と思われているが実は泥棒の)八戸。
ここへ元チンピラの栗原が新入りとしてやってくる。

すでに刑務所生活に馴染んで和気藹々の4人に対し、
栗原は口を利かず、食事にも手をつけない。
強情を決め込む栗原だったが、空腹にはさすがに勝てず、
作業中に舞った木屑が鰹節に見えてぶっ倒れてからはガツガツ。

年の瀬が近づいたある日、4人が何やら恒例行事を始めると言う。
新入りの自分が袋だたきにされるのではと栗原は恐れるが、
それは刑務所でも振る舞われるおせち料理を賭けたゲームのことで……。

これまでの人生でいちばん旨かった食べ物。
それについて各々が語るゲームです。
聞き手の喉をごくんと鳴らすことができれば1点。
勝者はおせち料理の中の一品ずつを敗者たちから貰えるのです。

ちなみに、4人の“勝負めし”は、海鮮バーベキューに黄金めし、
巨大オムレツにオッパイプリン、すき焼き。
単に旨かったメシを挙げるのではなく、それを食べるに至った状況が語られます。
喉を鳴らすよりも涙を誘う展開も多々。

あまり見たくも想像したくもない下品な描写もちらほらあるうえ、
肝心の料理の映像がイマイチだったりします。
料理の“音”は素晴らしく、特に八戸が語る“すき焼き”には聴き入ってしまいますが、
笑わせるはずのシーンなどはかなり中途半端。

けれども、このゲームへの参加を余儀なくされた栗原の話によって、
半端におちゃらけた作品から一気に「ええもん」へと変化します。
幼いころ、特別な日に母親がつくってくれたホットケーキと、
酷く傷つけてしまった女性、しおりがつくってくれたインスタントラーメン。
このくだりには降参。

しおり役には、『ポテチ』で大西若葉役を演じた木村文乃。
『ポテチ』では大森南朋と共演しましたが、
本作ではお父さんのほうの麿赤兒と共演しています。

好きだった人に幸せになってほしいという気持ち。
自分のことは忘れてくれればいいと願っていたはずなのに。

顔をあげられずにすするラーメンの味は切ないけれど、
見あげた空に救われて。
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