『ドラゴン・タトゥーの女』(原題:The Girl with the Dragon Tattoo)
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ダニエル・クレイグ,ルーニー・マーラ,クリストファー・プラマー,
スティーヴン・バーコフ,ステラン・スカルスガルド,ロビン・ライト他
『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009)のハリウッド・リメイク。
オリジナルのスウェーデン版でハマり、ハリウッド版の公開も心待ちにしていました。
あらすじはスウェーデン版と丸ごとと言っていいほど変わりがないので、
上記のリンク先(のリンク先)をご覧ください。
凝ったタイトル・シークエンスに定評があるデヴィッド・フィンチャー監督。
『ソーシャル・ネットワーク』(2010)のときもワクワクしましたが、
本作のそれはまるでミュージック・ビデオ。
オープニングのシーンを背景に出演者の名前が映し出される作品が多いなか、
本作ではトレント・レズナーとカレンOがカバーしたレッド・ツェッペリンの曲に乗せて、
なんとも邪悪なイメージの映像が流れ、掴みバッチリ。
『ぼくのエリ 200歳の少女』(2008)をリメイクした『モールス』(2010)の場合、
舞台もアメリカに移したために、しんと、凜とした冷たさが薄らいだように思いました。
オリジナルもリメイクも面白かったけれど、
あの冷たさの点でオリジナルのほうが好きだなぁって。
この『ドラゴン・タトゥーの女』は、ハリウッド・リメイクでありながら、
舞台は同じくスウェーデン、ストックホルム。
そのせいかおかげか、オリジナルと同じ冷ややかさが漂います。
オリジナルとリメイクの細々とした違いにはニヤリとしてしまいます。
まず、主人公のミカエルの娘がリメイク版では登場。
彼女は敬虔なクリスチャンで、一方のミカエルはそれをよく思っていません。
聖書が事件の鍵となる点はどちらも同じですが、
背景に宗教を強く感じさせるのはリメイク版で、ミカエルにヒントを与えるのが娘です。
オリジナル版には宗教よりももっと大きな社会問題があることを感じます。
リスベットと会うきっかけとなる状況も双方では異なります。
オリジナル版ではリスベットのほうからある仕掛けをして、ミカエルに連絡を取りました。
これも含めて、全体的にリメイク版のリスベットのほうが受動的でヤワ。
腐りきった後見人への「お仕置き」はどちらも痛快でしたが、
ひったくりに遭ったときや車の炎上シーンの彼女は、
リメイク版のほうが数段たくましくて強烈。
これもリメイク版のリスベット役、ルーニー・マーラが可愛すぎるからかと。
オリジナル版はカッコよすぎてシビレましたけれど、
ラストシーンはルーニー・マーラが演じるからこその切なさ。
これ、当然続編もあるんですよね。
でないと、この切なさをどこに持って行けばいいんでしょ。
ダニエル・クレイグのミカエル役も私にはあり。
ステラン・スカルスガルドの狸親父ぶりもなかなか。
どうしても姪のハリエットが殺されたとミスリードしたいキャッチコピーですが、
いや、死んでないって。
真相が明らかになるシーンでは、知っていたにもかかわらず、
またもや泣いている私でした。(T_T)
配給はソニー・ピクチャーズなのに、
オリジナルに忠実にアップル社製品がバンバン映っていたり、
過去を洗いだすために調べる紙媒体がオリジナル版では伝票、
リメイク版では新聞記事なんてところもおもしろい。
やっぱり原作も読みたくなり、注文したところです。
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