友だちが貸してくれた香月日輪著『妖怪アパートの幽雅な日常』を読んでいます。
某サイトでは児童文学にカテゴライズされていますが、
小学生が読んだら怖がって泣くやろ~とか、
オトナの話すぎて聞かれた親が困るやろ~とかいうネタもあり、
だったらライトノベルということになるのでしょうか。
ライトノベルの定義って、調べてみるとおもしろいですねぇ。
番外編を除くと、全10巻。
2時間もあれば1巻読了できますので、
就寝前にちょびっと活字を読みたいなぁというときにうってつけ。
9巻まで読み終えました。
主人公は稲葉夕士という男子高校生。
交通事故で両親を亡くし、中学の間は伯父の家に居候。
伯父夫婦は本当によくしてくれるけれど、
夕士と同年代の娘がいることもあり、何かと気を遣う。
商業高校入学をきっかけに一人暮らしを決意。
格安の物件を見つけて入居したところ、
なんとそこは妖怪や幽霊が暮らすアパートで……という物語。
アパートの幽霊は、幼い男の子とその仲良しの犬、
妖怪託児所の保母さんでプロポーション抜群の美人、
手首から先しかない天才料理人など。
いずれも死亡理由が凄絶で、親による虐待死、
中絶をくり返したはての出産時の死亡、
ストーカーにバラバラ死体にされて手だけ成仏できずとか。
幽霊以外の住人や客人も多数。
詩人、画家、古本屋に骨董屋。除霊師の卵もいます。
また、夕士の親友、長谷泉貴は、別の進学校にかよっていますが、
妖怪アパートにしょっちゅう遊びにきます。
夕士の同級生の女子たちはかしまし娘。
彼女らが心をときめかせるちょっとワルそうな千晶先生がカッコよし。
その千晶先生を敵対視するのは、美人だけど嫌な感じの青木先生。
登場人物がそろって魅力的。
映画のタイトルがちょこちょこ出てくるのも楽しいです。
スキー旅行で泊まったホテルで次々起こる怪奇現象に、
夕士が思い出すのは『シャイニング』(1980)。
謎の卵を見れば、『エラゴン』(2006)のようにドラゴンが生まれるのかと思い、
アンティーク・ジュエリーの展示会場で強盗事件に巻き込まれたときは、
『オーシャンズ11』(2001)のような展開を夕士は想定します。
それに、女生徒会長はアンジェリーナ・ジョリーみたいなんだそうな。
心霊現象には無縁だったとはいえ、
本作を読むと高校時代が懐かしくなります。
心に残る台詞もいっぱい。
つられて大人になる必要はない。
生身の人間を救うのは、やっぱり生身の人間でないと。
映画化するとしたらキャストはどうなる?
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