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『ダンシング・チャップリン』

監督:周防正行
振付:ローラン・プティ
出演:ルイジ・ボニーノ,草刈民代他

関西ではテアトルシネマグループの劇場にて公開中。

周防正行監督が『Shall We ダンス?』(1996)のヒロインに抜擢し、
それが縁で翌年に結婚したバレリーナの草刈民代。
本作のポスターには、2009年にバレリーナを引退した彼女の「ラストダンス」と。
彼女を撮りたくてたまらない監督の、究極のおノロケ映画とも言えます。(^^;

さて、これがとてもおもしろいバレエ映画でした。

フランスのバレエの振付家ローラン・プティが、
チャップリンの作品を見ていて突然思いついたというアイデアにより、
“Charlot Danse avec Nous(チャップリンと踊ろう)”という作品ができました。
チャップリン役と言えばこの人しかいないと、ルイジ・ボニーノに。
彼は、1991年の初演以来、何十回もの公演をこなし、
還暦を迎えたいまも、バリバリ現役のダンサーです。

この「チャップリンと踊ろう」の舞台をフィルムに収めたくなった周防監督は、
ルイジと草刈民代の共演で、企画を進めます。
本作は二部構成になっていて、第一幕はメイキング。第二幕がバレエ。
合わせて130分ちょいですが、
まずは映画をつくる過程をじっくり見て、5分間の休憩を挟み、
完成した「バレエの舞台」を「映像で観る」。楽しいです。

世界でもっとも美しい職業だと自負するバレエダンサーたち。
体が思いどおりに動くときには心がついてゆかず、
心が体に追いついたと思ったら、もう体はついてきてくれないんだ。
ユーモアを交えながら、そんな心のうちをルイジは語ります。

また、映画と舞台、双方のつくり手は、分野としては同じでも、
お互いにイメージできないもの、譲れないものがあります。
周防監督とローラン・プティのやりとりにはそれが表れていて、
最終的にはどうなるのかと興味を惹かれます。

映画監督は公園で撮影したいと言い、
舞台監督はスタジオでしか撮影したくないと言う。
第二幕だけでもじゅうぶん楽しめる内容ですが、
こういったふたりのやりとりを第一幕で見ていると、
第二幕では感動の波が押し寄せます。

周防監督作品の『シコふんじゃった。』(1991)。
劇場で鑑賞中に拍手喝采が湧き起こり、
ほかのお客さんたちとあんなにも一体感を持った映画はこれのみ。

本作は、拍手喝采は起こらないものの、
みんな、心の中では拍手したいと思っている、
そんな雰囲気を感じた作品でした。
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